M&A(譲渡)

時代遅れの業者に騙されない初めてのM&A仲介アドバイザーの選び方

M&Aアドバイザー・仲介会社の選び方

M&Aの成功にはM&Aアドバイザーが欠かせないと言われます。しかし、M&A市場は大きな変化の過程にあり、すでに少なからぬM&A仲介会社が時代から取り残されているのが現状です。

M&Aの入門書や中小企業庁の事業引継ハンドブック〔外部〕などを見てみると、異口同音にM&Aアドバイザーの重要性を唱えている一方で、その「選び方」についてはバラバラです。たとえば、

  • 大手仲介会社は報酬は高いが安心だ
  • 買い手候補をたくさん集められる仲介会社が良い
  • 特定業種に特化したアドバイザーを選ぶべきだ
  • 売り手オーナーとの相性こそ最重要だ

などなど、様々な人が思い思いのことを主張しています。

なぜこんなことが起きているのでしょうか? その大きな理由の1つは、M&A市場は大きな変化の中にあり、M&A仲介アドバイザーに求められていることが、昔と大きく変わってしまったためです。

今回は、M&Aアドバイザーとは別の視点(買い手側)でM&A業界に携わってきた筆者が見出した、今の時代に求められているM&A仲介アドバイザーの能力と、売り手にとって最適なM&A仲介アドバイザーを選び出す方法についてご説明します。

M&A業界に相当な確率で紛れ込んでいる時代遅れのM&Aアドバイザーと契約してしまわないように、しっかりと熟読されることをおすすめします。

なお、中小企業M&Aは仲介会社が仕切ることが多いため、本記事では仲介アドバイザーを前提にご説明します。仲介アドバイザーについては「初めてでも納得!仲介会社とFA、2つのM&Aアドバイザーの違い」をご覧ください。

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仲介アドバイザーを選ぶ前に知っておくべきM&A市場の変化

M&A仲介アドバイザーの業界を取り巻く環境は、現在大きな過渡期を迎えています。前時代的な仲介アドバイザリー手法でもM&Aを「成立」させることは可能ですが、「成功」させることはもはや困難になってきました。

そこで、まずはM&A市場の変化について理解しておきましょう。そうすることで、現在求められている仲介アドバイザーの能力が理解できるようになるでしょう。

少し前の「フェイスマッチングM&A」ならアドバイザーは誰でも一緒

日本の事業承継型M&A市場は、西暦2000年ごろから本格的な成長段階に入っています。当時はまだM&A自体が物珍しかったものの、低成長時代に手堅い投資先を求めて、中小企業を買収することが少し流行った時代です。

意欲はあっても買収ノウハウのない買い手が多数だった

当時のほとんどの買い手企業は、技術面でも意識面でもM&Aの素人でした。今となってはすごい話ですが、多くの買い手企業が、「儲かっている会社を適正価格で買えば自然と儲かる」と本気で信じていました。

そのため、利益がちゃんと出ている会社であれば、それだけで入札が殺到しました。ほとんど誰も買収後の事業計画やシナジー効果などろくに考えておらず、ただ適正価格で買収することだけが目的の、「M&AのためのM&A」に大真面目に取り組んでいました。

この時代、仲介アドバイザーは「マッチング」だけすればよかった

この時代の仲介アドバイザーに求められていたことは、ただ「売り手が選り好みできるだけの買い手候補を集めてくる」ことだけでした。

結局のところ、買い手企業の大半は対象会社の実態を分析する意思も能力もなく、ただ機械的に弾き出した「適正価格」を入札するだけでしたので、価格面も条件面も大差がなかったからです。つまり誰が仲介してもほとんど一緒という時代でした。

我々は、この時代のM&A仲介の手法を「フェイスマッチングM&A」と呼んでいます。単に売り手と買い手の顔を引き合わせるだけの商売でした。

フェイスマッチングM&A時代の仲介会社の成長戦略と言えば、「どうやって儲かっている会社を仕入れるか」でした。儲かっている会社の「仕入」さえできれば、あとは買い手候補を集めるだけで必ず売り捌ける時代だったので、全国津々浦々の会計事務所にネットワークを築いたり、金融機関に社員を出向させたり、紹介者に紹介手数料をバラまいたりといった「仕入ルートの確保」が重要な成長戦略だったのです。

売り手ができることは、相手との相性を感じるだけ

フェイスマッチングM&A時代は、入札をしても大差ない金額が集まるだけでしたので、売り手がM&Aの成功のためにできることは、事業を任せられる買い手を選択することだけでした。

とはいえ、事業を任せられるかどうかを判断するのは簡単ではありません。なぜなら、当時の買い手候補は、どこも事業計画やシナジー効果についてろくに考えておらず、横並びに「現状維持の事業計画」しか持ち合わせていなかったからです。つまり、買い手候補にほとんど差がなかったということです。

結局、売り手がどうやって買い手を選んでいたかというと、「その会社の社会的信用」と「その場のなんとなくの印象」でした。どちらも非常にあいまいで、M&Aの成功は運否天賦だったと言っても過言ではないでしょう。

現在は「ニーズマッチングM&A」でなければ満足できるM&Aは成り立たない

上述のとおり、かつては買い手の経験不足によって、フェイスマッチングM&Aが主流となっていました。ところが、現在ではフェイスマッチングM&Aでは満足のできるM&Aが非常に難しくなっています。その変化のきっかけは、買い手企業がM&Aのノウハウを蓄積していったことにあります。

買い手企業がM&Aの本質を理解し始めた

2000年代後半のころから、M&Aを真剣に成功させようと試行錯誤してきた買い手企業が、「儲かっている会社を適正価格で買えば自然と儲かる」という考え方が大きな間違いであったことに気付き始めました。そしてこの理解は、リーマンショックや震災後の不況を経験する中で、多くの買い手企業の共通認識になっていきます。

M&Aに真剣に取り組んでいる買い手企業の中で、もはや「M&AのためのM&A」を行っている会社はありません。M&A対象会社の眠っている強みを親会社の力で引き出すのがM&AであることやM&Aは買収前よりも買収後のほうが重要であることなど、M&Aを成功させるために必要になる本質的な技術を、多くの会社が理解しています。

その結果、M&A前向きな買い手企業ほど、入札前から徹底的にM&A対象会社を分析しています。そして、買収後の事業計画やシナジー効果の青写真を踏まえて投資回収可能な値決めを行い、デューデリジェンスでは青写真が絵に描いた餅ではないかを徹底的に確認します。

従来のフェイスマッチングM&Aでは、もはや対応できない

このとき、買い手企業はM&A対象会社の情報に飢えています。決算書と会社の外観ぐらいしか見ていなかったかつての買収検討プロセスは、もうそこにはありません。経営者による事業状況の分析や、販売の詳細なデータ、組織図や従業員の年齢・年収など、M&A後の事業計画やシナジー効果を検証するために欲しい情報はすべて要求します。

このような中で、仲介アドバイザーには、どのような役回りが求められているのでしょうか。

それは、入札前に開示できるデータとできないデータを選別したり、営業秘密やプライバシーが守られるようデータ加工したり、売り手オーナーが質問とズレた回答をしないように指導することです。

もはや、単なるフェイスマッチングM&Aで有望な買い手が集まる時代は終わりました。M&Aに真剣に取り組んでいる買い手企業ほど、高レベルな情報開示を要求し、それに応えられなければ降りてしまいます。今現在、フェイスマッチングM&Aで集められる買い手は、未だに「M&AのためのM&A」という発想から脱皮できていない素人か、本来の価格条件よりも大幅に引き下げた価格での買い叩きを狙うM&A巧者だけです。

したがって、これからは売り手が満足できるM&Aを実現するには、M&A対象会社の実態を丁寧に説明し、買い手企業が安心して入札できる環境を整えられる「ニーズマッチングM&A」が不可欠であると考えています。

フェイスマッチングM&Aは間違いなく衰退していく

2018年現在はまだ過渡期であり、M&A市場全体の規模拡大も後押しして、フェイスマッチングM&A自体はいまだに利益が挙げられるビジネスです。それは、不十分な条件でM&Aをしても「M&Aってこんなもんなのかな」と騙されてくれる売り手オーナーさんに支えられています。

しかし、買い手企業のM&Aノウハウはこれからさらに広がっていき、やがてフェイスマッチングM&Aでは誰も見向きもしなくなるでしょう。ニーズマッチングM&Aに移行できない仲介会社は、いずれ必ず淘汰されると断言できます。

もちろん、従来フェイスマッチングM&Aに依存していた仲介会社の多くが、ニーズマッチングM&Aへの移行を図っています。しかしながら、そもそも対応できる能力のあるアドバイザーを雇用してこなかったり、組織が大きくなりすぎて旧来の勝ちパターンを捨てられない会社も少なくありません。このような会社がいつ崩壊しても、そう驚くことではないでしょう。

売り手オーナーにとって望ましい時代になっている

これは、中小企業M&Aの売り手オーナーにとって望ましい方向への変化です。もちろん楽な時代ではないですが、より望ましい相手に、望ましい価格で売るという中小企業M&Aの目的からすれば、ニーズマッチングM&Aのほうが圧倒的に容易に実現できます。

フェイスマッチングM&Aでは、大差のない入札価格といい加減な事業計画を持ってくる買い手候補の中から、大事な会社を託すたった1社の買い手企業を選ばなければなりませんでした。

しかし、ニーズマッチングM&Aでは、M&A対象会社の強みや自社とのシナジー効果を真剣に考え抜いた買い手企業を見分けることが圧倒的に簡単になっています。しかも、シナジーによる事業発展を踏まえて入札額を決めていますので、「適正価格」より大幅に高値になることも珍しくはありません。

そして何より、ニーズマッチングM&Aでは、対象会社と相性の良い会社ほど高い価格を出しやすくなります。買い手企業が事業や組織文化の面で高いシンパシーを感じるほど、シナジー効果に確信が得られ、高い入札をしやすくなっていくからです。

ニーズマッチングM&Aを追求していくことで、「良い相手に良い価格で売る」という中小企業M&Aの成功がぐっと近づくことは間違いありません。

シナジー効果は、買い手が実現確度が高いと感じるほど、価格に織り込まれやすくなります。詳しくは「実務ですぐに使えるシナジー効果の種類とM&A価格に織り込む技術」をご覧ください。

ニーズマッチングM&A時代の仲介アドバイザーに求められる能力

上述のとおり、現在でもフェイスマッチングM&Aでも案件を「成立」させること自体は可能であるため、今のM&A仲介業界はフェイスマッチングM&AとニーズマッチングM&Aが混じり合っている過渡期です。あなたがニーズマッチングM&Aを希望するなら、あなた自身の目で、本当にニーズマッチングM&Aに対応できる仲介アドバイザーかどうかを見分ける必要があります。

以下では、ニーズマッチングM&Aに対応するために仲介アドバイザーに求められる能力をご説明しましょう。

M&A対象会社の分析能力は必要不可欠

ニーズマッチングM&Aで良い入札を集めるためには、M&A対象会社の特徴や強み・弱みを買い手企業に理解してもらうことが何よりも重要です。買い手はその情報を真剣に吟味し、納得できて初めて入札価格に織り込んでくれるからです。

そのため、仲介アドバイザーには、M&A対象会社を客観的に分析し、M&Aのポイントをあぶり出す能力は必要不可欠です。

財務・税務・法務に関する幅広い知識

M&Aでは、財務や税務、法務に関する幅広い知識も欠かせません。公認会計士や弁護士ほど詳しくなる必要はありませんが、M&Aを熟知した買い手企業と同レベルの知識を有し、買い手企業のリスクエスト内容を噛み砕いて売り手オーナーに伝えられるだけの知見が求められます。

インフォメーションメモランダム作成能力が最重要

ニーズマッチングM&Aでは、買い手企業がM&A対象会社を分析するための情報を取りまとめたインフォメーションメモランダムがもっとも重要な資料になります。インフォメーションメモランダムの出来の良し悪しだけで、入札額に数倍の差が付くこともあります。

もし、インフォメーションメモランダムを作らせているときに、仲介アドバイザーの能力に疑問を感じるようであれば、すぐに契約解除を真剣に検討することをおすすめします。詳しくは「マトモなIMが作れないM&A仲介会社は即契約解除すべき5つの理由」をご覧ください。

M&A対象事業の業界に対する知見

M&Aはあくまでビジネスの売買ですので、そのビジネスに精通したM&Aアドバイザーが望ましいのは当然のことです。ただし、特定業種専門を謳うM&A仲介会社の中には、M&Aのことをまったく理解していないところもあるため絶対的な要件ではありません。とはいえ、業界に対する知見はM&Aアドバイザーを評価するポイントになります。

なお、ニーズマッチングM&A時代のM&A価格は、業種によって大幅に見積り方法が異なります。そのため、その業種のM&Aに詳しい人が一番正確な価格目安を出すことができます。詳しくは「何の利益の何年分?会社売却M&Aの【価格目安】の見積り方」をご覧ください。

ただし、各社が自己の主観でシナジーを価格に織り込むニーズマッチングM&A時代には、価格目安を算定すること自体が非常に困難かつあまり意味のないことである点にご留意ください。

組織力よりも個人の経験値が重要

フェイスマッチングM&Aの時代は、如何に入札してくれる買い手の頭数を集めるかの勝負だったため、仲介会社が組織として持っている「買い手登録企業数」や「売り案件と買い案件を結び付ける仕組み」が最重要でした。

しかし、ニーズマッチングM&Aの時代には、それよりも「如何に買い手候補に対象会社の魅力を理解してもらうか」「如何に対象会社を分析し、的確な情報を提供できるか」が求められます。

今のところ、こういったニーズマッチングM&Aのサービスを組織的に実現できている仲介会社はないようです。すなわち、仲介アドバイザー個々人が、自分の経験を駆使してプレゼンテーションしていく必要があるため、組織力よりも担当者個人の経験値のほうがモノを言います。

弊社でも、お客様にM&Aアドバイザーを紹介する際は、会社単位ではなく個人単位で指名して紹介しています。同じM&A仲介会社でも優劣の差が激しく、組織力の重要性も落ちているため、仲介会社自体を紹介しても意味がないためです。

自分が目指すM&A像に対する共感

ニーズマッチングM&Aでは、買い手企業がこれまで以上に対象会社を吟味して買収可否や入札額を決めている一方で、売り手は各買い手候補が真剣に考えた事業計画やシナジープランを吟味し、もっとも自分の実現したかったM&Aに近い相手を選択することができます。

つまり、売り手が目指しているM&Aの方向性に共感し、その実現を100%サポートできるM&Aアドバイザーでなければ、ニーズマッチングM&Aで仲介役として立ち回ることはできません。

そうは言っても人柄も重要

なお、なんだかんだ言っても、人柄が仲介アドバイザー選びの重要要素であることは間違いありません。

M&Aは人生をかけて育ててきた会社を「買収」されることですので、不愉快なことも時には起こるものです。頭に来たとき、感情的にならない相手であることが、不用意な破談を避けるためには意外と重要な要素であることは事実でしょう。

なんとなくイライラするような人や、自己主張が強すぎるような人が仲介役では、状況が悪化するだけなのです。

最良のM&A仲介アドバイザーを選ぶためにすべき9つのこと

ニーズマッチングM&Aでは、M&Aアドバイザーは対象会社のプレゼンテーターになってもらう必要があるため、M&Aの成功のためには非常に重要な役割を持っています。では、最高のM&Aをお膳立てしてくれる仲介アドバイザーは、どのように選べばよいでしょうか。
後悔しない仲介アドバイザー選択のために、絶対にしていただきたいこと9つをご紹介します。

1.複数の仲介アドバイザーに会うこと

まず、仲介アドバイザーを選ぶときは、必ず複数のアドバイザーを比較して選択するようにしてください。

仲介アドバイザーのレベルは玉石混交で、低レベルなアドバイザーは掃いて捨てるほど多くいます。フェイスマッチングM&Aの時代はそれでもなんとかやっていけたのですが、今やそう甘くはありません。

ただし、1度に7社も8社もコンタクトすることは、大変リスキーなのでおすすめしません。その理由は「多数のM&Aアドバイザーに会うことの2つのリスクと対処法」をご覧ください。

2.絶対に「紹介されたから」だけでM&Aアドバイザーを選ばないこと

税理士や金融機関に紹介を依頼することは悪くありません。ただ、多くの仲介会社がフェイスマッチングM&Aの時代にネットワークを張り巡らせており、紹介手数料のバックという形で自社に紹介が来るよう今も努力をしています。

紹介手数料の仕組みについては「オススメなんてカネ次第?M&Aのウラで動く【紹介手数料】の話」もご覧ください。

このような努力をしている仲介会社がダメというわけではありませんが、結局フェイスマッチングM&Aの発想から抜け切れていない会社も多く、紹介がかえってダメM&Aアドバイザーを呼んでしまうリスクもあります。

重要なことは、決して紹介されたからという理由で契約するのではなく、他と比べて能力や相性に納得した上で契約すべきということです。

なお、税理士や金融機関があなたにM&A仲介会社を紹介するときは、紹介者は必ず紹介手数料に期待をしています。期待に沿えずガッカリされたり顔をつぶしたりしないよう、他の人にも紹介を依頼しているなどと予め伝えておきましょう。もし紹介者との義理から断れないような力関係であれば、最初から紹介は依頼しないほうが賢明です。

3.M&Aについてきちんと予習してから会うこと

仲介アドバイザーに会う前に、必ずM&Aについて予習を行い、相手のペースに巻き込まれないようにしましょう。

フェイスマッチングM&Aの時代から、ニーズマッチングM&Aに移行中の現在に至るまで、損をしているのに気づかない売り手オーナーというのは非常にたくさん見てきました。M&Aが終わってしまっていれば知らぬが仏なので黙っていますが、仲介アドバイザーに手玉に取られている人は少なくありません。

不誠実な仲介アドバイザーも山ほどいる業界ですので、M&Aの知識武装をした上でM&Aアドバイザーとコンタクトしましょう。

詳しくは「M&A仲介会社に最初に相談すべきでない3つの理由と適切な時期」を併せてご覧ください。

4.自分が望むM&Aについて方針を固めてから会うこと

売り手オーナーがM&Aの期待すること、つまり売り手にとっての「M&Aの成功」は、売り手オーナーごとに十人十色です。たとえば、M&A後に自社が吸収合併されることを嫌がる人もいれば、まったく気にしない人もいます。ブランド名の維持より継続雇用のほうが重要だという人もいれば、その逆もいます。また、M&A価格が最優先で後は好きにしてくれていいという人だっています。

これらは売り手オーナーの心次第であり、正解はありません。重要なことは、自分の求めるM&A像を明確にし、それが共有できる仲介アドバイザーかどうかを確認することです。

弊社ではこの自分の求めるM&A像を明確化することを「M&Aの成功定義」と呼んでいますが、ニーズマッチングM&Aの時代においてはM&Aプロセスの再序盤で必ず実施すべきものです。M&Aの成功定義の方法については「これがM&Aの第一歩!【M&Aの成功定義】の7つのステップ」で詳しく解説しています。

5.M&Aスキームについては事前に方針を決めておくこと

フェイスマッチングM&Aしかできない仲介アドバイザーに、M&Aスキームはどれがよいか相談してみると、対象会社に余程の問題がない限り「単純な株式売買」をおすすめしてきます。

残念ながら、フェイスマッチングM&Aの専門家は、一番単純な株式売買しか満足に仕切れません。さらに言えば、中小企業M&Aの現場で株式売買以外にどのようなM&Aスキームがあるのかすら理解していないため、選択肢に「合併」を入れるようなトンチンカンな対応を見せてくれます。

中小企業M&Aで実際に選択されているM&Aスキームは4つあります。詳しくは「動画と図解で手法を理解!4つの中小企業向けM&Aスキーム完全比較」をご覧ください。なお、合併はまず選択されません

したがって、ノーアイディアの段階から仲介アドバイザーにM&Aスキームを相談しても、フェイスマッチングM&Aしかできない相手であれば、勝手に単純な株式売買に誘導されるだけです。中には単純な株式売買を奨められて、理由を訊いたら「一般的だから」と言われたという笑い話まであります。

M&Aスキームは、仲介アドバイザーを選ぶ前に概ねの方針を固めておき、最後にアドバイザーの意見も訊いて確定する手順を踏みましょう。この際のやりとりで、相手がM&Aスキームについてきちんと理解しているか否かが明白にわかります。M&Aスキームの決め方については「売り手にベストなM&Aスキーム(売却手法)を決める7つの手順」をご覧ください。

6.インフォメーションメモランダムのフォーマットを見せてもらうこと

M&A仲介会社の中には、汎用的に使えるインフォメーションメモランダムのフォーマットを用意しており、売り手オーナーとの契約前に見せてくれるところがあります。このようなマーケティングツールを用意している仲介会社は、インフォメーションメモランダムの重要性がよくわかっているようでなかなか良いと思います。

仲介アドバイザーを選ぶ際に、どのようなインフォメーションメモランダムが開示されるのかは確認しておきましょう。繰り返しになりますが、インフォメーションメモランダムの出来の良し悪しだけで、入札額は数倍変わります。どのようなインフォメーションメモランダムが望まれるのかについては「会社の価値に3倍差が付くインフォメーションメモランダムの記載内容」をご覧ください。

なお、中には他の案件で使ったインフォメーションメモランダムの実物を、会社名も隠さずに見せてくれる仲介会社もあります。この上ないサンプルだとは思いますが、そこと契約すると自社も将来同じように扱われることは覚悟しておきましょう。

7.所属するM&A仲介会社のWebサイト・書籍をチェックすること

M&A仲介会社のWebサイトには目を通しておきましょう。多くの検索エンジン対策で、「M&Aとは何か」や「M&Aを成功させるコツ」などを公表しています。

実は、このようなWeb記事は多くがライターに外注したものであり、まったく的を得ていない記述も少なくありません。ただし、その会社がどの程度、M&Aの成功(成立ではなく)について真剣に考えているか、伺い知ることはできるでしょう。書籍はより「本物」が書いていますので、よく読めばフェイスマッチングM&A的な発想の持ち主かどうかがわかります。

なお、弊社のサイトと書いてある内容がずいぶん違うと感じることもあるかと思います。我々としては当然自分たちのほうが正解だと確信して書いていますが、各々でどちらのほうが根拠を明示して説得力のある説明をしているかを判断していただければ結構です。まず間違いなく、我々の記述のほうにご納得いただけるでしょう。

8.選手交代の可能性を確認すること

上述のとおり、ニーズマッチングM&Aでは、組織力よりもはるかに個々のアドバイザーの能力が重要になります。

仲介会社も大きな組織になると、営業担当者と案件担当者に分かれています。営業担当者が信頼できそうだと思って契約したら、全然違う人が案件を取り仕切ることになってしまったという話もよくあります。

フェイスマッチングM&Aであれば、誰がやっても大差なかったのでそれでもよかったのですが、ニーズマッチングM&Aでは大きな誤算になります。選手交代の可能性は必ず確認し、本当に案件を取り仕切ってくれる人を見て選びましょう。

9.契約解除条項は必ず確認すること

M&A仲介は独占業務委託契約(専属アドバイザリー契約)です。複数の仲介会社を同時進行で走らせることは通常できません。そのため、一度契約したアドバイザーが能力不足だった場合、なるべく早い段階で契約を解除し、別のアドバイザーを探す必要があります。

ところが、契約解除に変な条件を付けている悪質な仲介会社もありますので、契約書に押印する前に契約解除条件はしっかり確認する必要があります。契約解除条件に納得がいかなければ、契約内容の修正を要求しましょう。それでもちゃんとした説明なく、「この契約書じゃないと契約できない決まりです」という回答であれば、それは典型的なフェイスマッチングM&Aの発想なので、お断りしましょう。

おわりに

今回は、中小企業M&A市場の変化から、仲介アドバイザーに求められている能力と、それを見分けるために必要な方策についてご説明しました。

繰り返しになりますが、フェイスマッチングM&AからニーズマッチングM&Aへの変化は、M&Aの本当の意味での成功を目指す売り手オーナーにとって大変良いことです。

仲介アドバイザーの選択さえ間違えなければ、素晴らしいM&Aへの道はきっと開けます。ぜひ労を惜しまずに、アドバイザー選びに真剣に取り組みましょう。

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