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M&A(譲渡)

最良の後継者を選ぶM&Aでのトップ面談の7つの意義と6つの準備

    M&Aのトップ面談の意義と準備

    M&Aにおける「トップ面談」とは、売り手と買い手の意思決定権者が顔を合わせ、お互いの理解やM&A後の方針について意見を交換する場です。多くの場合、入札(意向表明書)の前後に行われることが多いでしょう。

    一部のM&Aアドバイザーは、トップ面談はセレモニーとかお見合い的なものであって、あまり重くとらえないようにとアナウンスしますが、筆者はまったく異なる意見です。

    トップ面談とは、売り手と買い手がお互いを「品定め」するいわば採用面接のようなものであるべきだと考えます。なぜなら、売り手オーナーにとって、トップ面談は買い手経営者の人柄やM&A後の事業計画の妥当性を推し量る、ほとんど最初で最後のチャンスだからです。

    そのため、トップ面談をしっかり準備し、十分な成果を得られれば、事業承継としてのM&Aは確実に成功します。トップ面談はそれだけ重要なのですが、そのチャンスはたったの1回です。

    実際には何度も面談できることもありますが、相手は相当忙しい方であり、一発で決める気持ちで臨まないと先方の買収意欲が確実に削がれていきます。

    今回は、そんな貴重なトップ面談の機会を後悔なく活用するために必要な考え方やポイントについてご紹介させていただきます。本記事をしっかり読んでいただければ、トップ面談の成功率は格段にアップするでしょう。

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    M&Aにおけるトップ面談の7つの意義

    面接のない採用試験がないように、トップ面談のないM&Aはまずありません。特に中小企業のM&Aにおいては、トップ面談によって面談前の予定とはまったく違う買い手候補が選ばれたり、買う気満々だった候補が入札を取り下げたりすることもあります。

    まずは、そもそもトップ面談とは何なのか、その意義・役割についてしっかり考えておきましょう。

    トップ面談の意義1.経営者同士のご挨拶

    M&Aプロセスの中で、トップ面談は売り手側と買い手側のM&A意思決定権者の最初のコンタクトであり、礼儀としてのご挨拶の意味合いは少なからずあります。

    デューデリジェンスに突入すると、ガチンコの交渉が続くことになります。適切なタイミングでトップ同士が顔合わせしておくことで、感情的になって案件が無闇に破談してしまうことが防げます。

    トップ面談の意義2.売り手が買い手を理解する場

    売り手はこの時点では買い手のことはほとんど知りません。業界大手であっても知り合いがいないことのほうが多いでしょう。異業種や他地域からの進出であれば猶更です。

    そのため、トップ面談は売り手が買い手企業の事業や経営理念、社風を理解する場として機能します。経営トップから直接話を聞くことで、外部情報では限界のある本当の話を引き出す数少ないチャンスです。

    トップ面談の意義3.売り手が買い手経営者を「品定め」する場

    売り手オーナーにとって、買い手の経営者は会社を引き継いでもらう後継者に他なりません。当然、厳しくチェックすべきです。

    本人は退任し、全株式を売ってしまうのだから、後継者はどんな人間でも構わないと割り切るオーナーさんもいらっしゃいます。それは価値観の問題であり、1つの正解です。

    一方で、そのような割り切りをしない、事業や従業員たちを任せるに値する経営者かどうかをしっかり「品定め」されるオーナーさんも少なくありません。

    このような方にとってトップ面談は、買い手候補の経営者が自分が育てた会社・事業を任せるに適任かどうか、任せたいと思う人間かどうかを確認する重要な役割を持っています。

    一般的な中小企業のM&Aプロセスの場合、たった1回のトップ面談が終わると買い手候補を1社に絞り、デューデリジェンス、価格・条件交渉、そして最終契約へと進みます。

    買い手の経営者と事業や経営についてじっくり話し合い、買い手候補の選定に活かす機会は、これが最初で最後です。たった1回のチャンスを無駄にしないよう、しっかり準備して臨みましょう。

    トップ面談の意義4.買い手の自己アピールの場

    一般的なM&Aプロセスにおいては、まだ複数の買い手候補が競争している状態でトップ面談が行われます。そのため、買い手としては選んでもらえるための自己アピールの場としてトップ面談をとらえています。

    そのため、皆さん自社の色を出してきますので、その中で誠実かつ自分の好きなタイプを選ぶということも必要な視点だと思います。

    トップ面談の意義5.買い手が売り手オーナー自身を見極める場

    トップ面談は売り手オーナーが買い手をチェックする場でもありますが、逆に買い手が売り手オーナーをチェックする場でもあります。

    買い手はこの後デューデリジェンスを行い、M&A対象となる「会社」や「事業」について、じっくりと調査します。しかし、中小企業経営の中核である「経営者」について、買い手の意思決定権者が直接確認するのは、やはり最終契約前はトップ面談が最初で最後のチャンスです。

    よって、買い手も「取引相手であるオーナーは信用できる人間かどうか」「きちんとまじめに経営をしてきた人かどうか」を確認してきます。トップ面談の結果入札が取り下げられることもありますので、あらぬ不安を抱かせないようにしましょう。

    トップ面談の意義6.M&Aに対する双方の価値観を知る場

    これは今後、厳しいM&A交渉に突入するにあたり、相手が何に譲歩できて何にできないのかを双方理解しておくという意味合いです。

    交渉においては、双方が譲歩しやすいところを知っておくことで、ともに納得できる落としどころを見出しやすくなります。M&A交渉が暗礁に乗り上げたとき、これを共有しているか否かは、妥結できるか破談するかの分水嶺になります。

    対決モードになるとなかなか伝えられなくなるため、穏やかなトップ面談の場で意見交換しておきましょう。

    トップ面談の意義7.M&A後の展望を語り合う場

    買い手がM&A後にどのような事業展開を考えているかは、買い手のトップでなければ深い話をすることはできません。また、売り手が何を望んでいるかも、買い手のトップに直接伝えなければ意味がありません。

    トップ面談は、最終契約前に「会社が今後どうなっていくか」を展望する唯一最大のチャンスです。絶対に無駄にしないようにしましょう。

    トップ面談を実のあるものにする6つの準備

    では、上記のようなトップ面談の意義を100%成功させるために、売り手オーナーとしてはどのような準備をすればよいのでしょうか。これについては、以下の6つの準備を抑えておきましょう。

    1. 意向表明書を熟読する
    2. 相手の情報をかき集める
    3. 自分の半生を振り返り、紙にまとめる
    4. どのような相手に売りたいか、再度整理する
    5. 買い手に買われた後の従業員たちを想像する
    6. 買い手とのシナジー効果を想像する

    以下ではそれぞれ説明しましょう。

    トップ面談の準備1.意向表明書を熟読する

    意向表明書とは、入札時に買い手候補が「自己紹介」や「M&A後の事業計画」などを記載した書面です。入札数が減るためM&Aアドバイザーが買い手に提出を求めない場合もありますが、買い手候補から提出されている場合は、トップ面談前にしっかりと読み込みましょう。

    トップ面談では、意向表明書の内容を元に買い手の自己紹介やM&A後の展望を意見交換しますし、買い手候補から意向表明書に対する感想を求められることもあります。

    きちんと読んでいないと買い手の説明もよくわからなくなりますし、買い手に「この売り手は本当に売る気があるのか?」と疑われることもあります。

    トップ面談の準備2.相手の情報をかき集める

    トップ面談前に集められる情報を多く集めましょう。

    ホームページを見るのは当たり前です。買い手企業だけでなく、その経営者についても調べましょう

    以下のような情報ソースが無料または比較的安価で入手できますので、活用していきましょう。

    • 有価証券報告書、決算説明会資料(上場会社の場合)
    • 日経新聞電子版
    • Googleニュース検索
    • 求人サイト、転職口コミサイト
    • M&Aマッチングサイトの買い手広告
    • 経営者のブログ、Facebook、Twitter
    • 帝国データバンク、東京商工リサーチ

    上記でM&Aマッチングサイトを追加していますが、弊社ではマッチングサイトはある程度M&A慣れしている売り手オーナーでなければ難しいと考えており、サイトを使った事業承継はおすすめしておりません。

    ただし、登録不要で情報を取得できることはあるので、買い手企業のM&A戦略を理解する情報収集には役立ちます。

    なお言うまでもなく、匿名掲示板など、情報の正確性が微妙なニュースソースには注意が必要です。

    トップ面談の準備3.自分の半生を振り返り、紙にまとめる

    トップ面談で非常によく話題に上るのが、売り手オーナーの半生です。起業の経緯や苦労したことなど、新卒社員の採用面接のごとく質問されます。

    これは、オーナーがどういったバックグラウンドを持ち、どういった経験をしているかによって、その価値観や人間性に近づこうという買い手の努力です。

    別に立て板に水のように饒舌に語る必要はありませんが、シドロモドロになるのも印象がよくないので、自分語りの準備はしておきましょう。

    トップ面談の準備4.どのような相手に売りたいか、改めて整理する

    これも非常によく質問されることなので、堂々と答えられるようにしておきましょう。曖昧にしてしまうと、買い手のアピールもピントのズレたものになってしまいます。

    当サイトをよくご覧になっている方であれば、「これがM&Aの第一歩!【M&Aの成功定義】の7つのステップ」や「適当に作ると大失敗!ショートリストの意味と正しい作り方5ステップ」などにより、具体的な後継者像が見えているのではないのでしょうか。それを改めて整理しておき、いつでも正しく回答できるようにしておきましょう。

    トップ面談の準備5.買い手に買われた後の従業員たちを想像する

    準備2で情報収集した内容を踏まえて、従業員たちが買い手の傘下で仕事をしている姿を想像してみましょう。きちんと笑顔で活き活きと働いていますか?

    実際には、この時点では考えてみたところで全然イメージが沸かないことが多いと思います。それでいいのです。では、何を確認すればイメージでき、ボスとして安心できるのか。それがトップ面談のテーマになります。

    トップ面談の準備6.買い手とのシナジー効果を想像する

    買い手と対象会社のシナジー効果をイメージして、トップ面談の場で確認し合えるよう準備しましょう。

    買い手はなぜ自社に入札してくれたのでしょうか。どういった点に興味を持ってくれたのでしょうか。そこに何らかのシナジー効果(相乗効果)がある場合、それはどのようなものでしょうか。これが具体的であればあるほど、M&Aは夢のある未来になっていきます。

    異業種が買い手になる場合は特にですが、捕らぬ狸の皮算用にしか思えないシナジー効果を買い手が持ち出してくるかもしれません。そのような場合、トップ面談でじっくりと話し合い、本当に会社を任せていい相手かを慎重に見極める必要があります。

    ショートリストやノンネームシートをしっかり作り込んでいれば、買い手がどんなシナジーを求めているかは簡単に想像できるはずです。

    詳しくは前掲の「適当に作ると大失敗!ショートリストの意味と正しい作り方5ステップ」や「ノンネームシートとは?その2つの役割と業者任せでは身バレする理由」をご覧ください。

    おわりに

    今回は、中小企業M&Aで非常に重要なトップ面談の意義と準備についてご説明しました。

    くどいようですが、面接のない採用試験がないように、トップ面談のない中小企業M&Aもありません。小さな会社ほどトップが重要で、相手が尊敬できるか、事業や部下を任せられるかは、真剣に検討すべきでしょう。

    トップ面談が終わると、基本合意、デューデリジェンスへと進み、一時的に対決モードになります。トップ面談で信頼関係をしっかりと作っておくことができれば、不必要な喧嘩別れもなくなるでしょう。

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