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M&A(譲渡)

M&Aで悪質なFA(ファイナンシャルアドバイザー)に出会った3つの実例

信用できないFA

M&Aを取り仕切る、いわゆる「M&Aアドバイザー」と呼ばれる業者には、「FA(ファイナンシャルアドバイザー)」と「仲介業者」の2種類がいます。

簡単に言えば、FAは「売り手か買い手の一方の味方」で、仲介業者は「中立の立場」です。

FAは自身のクライアントからしか報酬を受け取りません(片手取り)。これに対し、仲介業者は売り手と買い手の両方から報酬を受け取ります(両手取り)。

これだけ見ると、初心者である売り手にとっては「自分の味方をしてくれない仲介業者より、味方であるFAのほうが良さそうだ」と思うでしょう。

実際、受けてくれるFAを見つけられるかどうかという問題こそありますが、私もFAを使われたほうがよいと思います。マッチング力では仲介業者に劣るとは言われていますが、そのデメリットを飲み込んででも「味方」を作っておくことは重要です。

ただし、そのFAが「味方」としてマトモに動けるならば、ですが。

残念ながら、中小企業M&Aの業界で「マトモなFA」を探すのは簡単ではありません。そして、悪質な仲介業者を数多く見てきた私が引くぐらいのFAも少なくはありません。

今回は、私が実際に遭遇した悪質なFAの実話をご紹介します。しっかり読んでいただければ、契約書の表面だけを見て安易に信用することが如何に危険かがお分かりいただけるでしょう。

中小企業M&AにFAが少ない理由

本題に入る前に、中小企業M&Aの世界にFAが少ない理由について説明しておきましょう。これを抑えておくことで、悪質なFAが存在している背景も理解しやすくなるからです。

FAは簡単な仕事ではない

「中立の立場」と称して何の責任も負わない仲介業者と比較すれば、クライアントの代理人にならなければいけないFAの仕事は簡単ではありません。

法務や財務に対するしっかりした基礎知識、適宜適切な専門業者を活用するコスト、相手方と対立しながらもM&Aプロセスの前進を図っていく交渉力など、幅広い能力が高いレベルで求められます。

さすがに交渉に失敗したときのクライアントの損害を全額補償するFAはいないとは思いますが、他人の利益を代弁するということはそのぐらい重いことであって、生半可な報酬で利益が出るものではないのです。

FA稼業は案件規模が超重要!

そうなると、片手取りの報酬しかもらえないFAにとって、中小企業M&Aはそもそも商売として魅力がありません。

優秀なFAは大型案件で引っ張りだこですから、十億円前後の案件で汗をかくことのメリットなんて特にありません。中小企業案件に手間を取られて大型案件を失注するなんてことがあれば、大損害です。

中小企業M&AではFAは割に合わない

FAも商売ですから、利益率が良い仕事に絞りこもうとするのは当然のことです。その結果、中小企業M&Aは「割に合わないもの」と考えて、切り捨てざるを得ません。

実際、中小企業M&Aを仕切る「M&A仲介業者」という商売がこんなに普及しているのは、単純にFAが中小企業に積極的でなかったからに他なりません。それは彼らの商売を考えれば当然のことで、2種類のM&Aアドバイザーには一定の棲み分けが存在しているということです。

詳しくは「初めてでも納得!仲介会社とFA、2つのM&Aアドバイザーの違い」で解説していますので、ご参考になさってください。

実録!私が遭遇した3種類の悪質なFA

それでは、「本当にいた!こんな悪質なFA」という事例を3つご紹介しましょう。彼らは表面上はちゃんとしたFAでしたが、ほんの短期間付き合っているうちにとんだ食わせ物だったことに気付いた事例です。

実例1.実力もないのに「FA」という宣伝をしている

上述のとおり、FAと仲介業者では、圧倒的にFAのほうが難易度が高いです。ところが、「仲介業者よりも能力の低いFA」は意外と多く存在します。

このような「ねじれ現象」は、仲介業者として両手取りの報酬をいただく営業力のない業者が、妥協策として割に合わない片手取りのFAを実施しているために発生するものです。案件のアドバイザリー契約ができるのであれば、FAより仲介のほうが絶対に儲かるので、本当は仲介として関与したいというのが彼らの本音です。

たとえば、「FAでも仲介でも、売り手オーナーさんのご要望にお応えしてどっちもやりますよ!」という業者であれば、FAは本当はやりたくないというのが本音でしょう。ただ、失注するよりマシだからそういうコトにしていると考えておきましょう。

実例2.実質的に「仲介の分業」をしているだけ

売り手FAということで契約をしたのに、実質的には仲介業者が分業をしているだけ、というケースもありました。

「仲介の分業」の仕組み

まず、売り手FAが売り手経営者と契約を結びます。次に、売り手FAが「実質的に指揮命令できる子分」に、適当な買い手に案件の売り込みをさせます(下図)。

信用できないFA1

買い手候補が見つかったら、「子分」を買い手側のFAとして契約させます(下図)。

信用できないFA2

このとき、「買い手FAは付けなくていいよ」と買い手候補企業が行ったとしても、「売り手オーナーの強い希望で、承認されたFAが付かなければM&A案件に参加できない」などと嘘をついて契約にこぎつけます。

M&A案件が進んだら、買い手FA(売り手の子分)には「メッセンジャー」として、買い手の動きをすべて報告させます。売り手FAがすべての交渉を取り仕切り、M&Aの「成立」に向けて進めていきます(下図)。

信用できないFA3

そして、案件が成立したら、それぞれのFAがそれぞれのクライアントから報酬を受け取ります。そして最後が重要で、売り手FAは、買い手FAから「指導料」や「情報提供料」として金銭を受けとります(下図)。

信用できないFA4

実質的には仲介に過ぎない

上記の仕組みでは、売り手FAとその子分が実質的に1つの事業体として動いています。つまり、実態としては単なる仲介であり、契約書を2つに分けてFAに見せかけているに過ぎません。

売り手FAは一応売り手の味方という立場になりますが、遠回しに買い手企業から報酬を受け取っているので意味はありません。また、私が遭遇した実例は売り手FAが親分でしたが、買い手FAのほうが親分であるケースもあるかもしれません。

FAは仲介業者に比べて、一般に買い手探しのルートが弱いと言われています。そのため知り合いの買い手FAを使って買い手を探すことは珍しくないのですが、両社の関係が近すぎると、単なる変則的仲介業者でしかありません。

実例3.売り手にはFA、買い手には仲介として契約する

最後に、相当悪質なケースをご紹介しましょう。これは私も驚いたケースです。

それは、売り手に対してはFA契約を結んでおきながら、裏で買い手と仲介契約を結ぶという「なんちゃってFA」ともいうべき振舞いです(下図)。

なんちゃってFA

さらに、これは伝聞したケースですが、買い手と自称FAが裏で結託しており、「売り手が安く売るように説得してくれたら、その一部をFAに還元する」という裏約束を付けているケースすらあるようです。

極めて悪質なFAの例

さすがにここまでいくと詐欺の世界だと思いますし、様々なM&A業者を見てきてもここまで悪質なケースはほとんどありません。しかし、初心者である売り手は「そういうカモになりかねない」という危機意識はしっかり持っていただきたいと思います。

結論!アドバイザー選びは慎重に

中小企業M&Aでは、誠実で優秀な仲介業者を探すことも簡単ではありませんが、誠実で優秀なFAを探すことはもっと困難です。優秀な人ほど実力を金に換えられる大型案件を志向しますので、これは致し方ないことでしょう。

したがって、「仲介業者だから契約しない」とか「FAだから安心して契約する」というスタンスはおすすめしません。契約形態によって実力が明確に分かれているものでもありませんし、そもそも契約形態が見せかけのものであるリスクもあります。

結局は、あなたが相手を信用できるかどうかが重要です。M&Aアドバイザー選びでは、決して表面的な部分だけではなく、信頼できる相手かどうかを見極めて選び出しましょう。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

事業承継を目的とした中小企業のM&Aは、多くが「失敗」と言わざるを得ない結果に終わります。


現実に、仲介会社のペースでM&Aを成立させてしまい、取り返しのつかない後悔を人知れず抱いている元経営者は少なくありません。


実は、事業承継M&Aが失敗しやすいということは、少し考えればすぐにわかるシンプルな理由からです。


あなたがM&Aを成功させたい、後悔したくないと強く考えているなら、事業承継M&Aの構造をきちんと理解しておきましょう。


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