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株式交換成功ノウハウ

株式交換を合併と比較したときのメリットデメリット10選

株式交換と合併の比較

株式交換は、他社を確実に完全子会社にできる、経営統合やグループ内再編の有効な手段です。

その有効性は「法人組織がそれぞれ残る」ことです。少々変な言い回しになりますが、合併よりも非暴力的と言えると考えています。実際にやってみるとよくわかるのですが、合併は結構「暴力的」な手段であり、慎重に実施しないと多くの混乱と軋轢をもたらします。その点、株式交換はだいぶ緩和できるのです。

具体的にどういうことでしょうか? 今回は、合併と比較した際の具体的なメリットとデメリットをご紹介しましょう。

株式交換と合併の類似点と相違点

株式交換は、「吸収合併の法人格が融合しないバージョン」と言えます。どういうことでしょうか? まずは類似点と相違点を確認しておきましょう。

株式交換と合併の類似点

1.確実に完全な経営統合となる

合併は2つの法人格が融合して1つになることですので、経営統合としては完全なものがあります。これに対し株式交換は法人格の融合までには至りませんが、株式の100%を保有する親子関係というものは、経営的には同じ会社であるのと何も変わりません。株式交換もまた、完全な経営統合を実現する手段と言えます。

合併も株式交換も、法的な手続さえ完遂すれば、確実に完全な経営統合が保証されます。

2.吸収される側の株主が吸収する側の株主として参加する

吸収合併では、消滅会社の株主には存続会社の株式が交付されますので、その後は存続会社の株主として参加します。

株式交換でも、原則的には親会社の株式が交付されるため、子会社の株主は株式交換後に親会社株主として参加します。

3.株式買い集めのキャッシュが必要ない

合併も株式交換も、吸収される側の株主にはキャッシュではなく株式を交付します(制度上はキャッシュの交付も可能)。そのため、株式を集めるために多額の資金を用意する必要がありません。

これは非上場会社の場合は必ずしもメリットではないのですが、上場会社の場合は極めて大きなメリットになります。

4.税制面での優遇措置がある

法人税法においては、合併も株式交換も、ともに「組織再編税制」と呼ばれる特殊な税体系に組み込まれています。

組織再編税制では、それぞれの合併や株式交換を「適格組織再編」と「非適格組織再編」に区分し、適格とされた場合は税金を発生させず、非適格とされた場合は税金を発生させるという制度になっています。

とはいえ、よほどイレギュラーなことをしなければ適格組織再編に該当しますので、税金を発生させずに経営統合が実施できると考えてよいでしょう。

株式交換と合併の相違点

1.法人格が融合しない

株式交換と合併の最大の違いが、それぞれの法人格が残ることです。

つまり、では合併は1つの会社になってしまいますが、株式交換の場合はそれぞれが法人として独立したまま、100%親子会社の関係になります。

この違いが、後述するメリットとデメリットを生んでいます。

2.債権者保護手続が不要

合併をするときは、最低1カ月前に合併公告を出すとともに、知れている債権者にその旨の個別通知が必要です。これを実施しなければ合併の登記を受け付けてもらえません。これは、債権者にとって会社の形が変わるという大ごとですから、債権者を保護するための手続です。

これに対し、株式交換の場合は会社の株主が変わるだけですので、「転換社債型新株予約権」などを発行していない限り、債権者保護手続は不要です。

株主が多数いる場合はじっくり準備したほうがよいですが、身内同士で株式交換をする場合は、書面だけでサクッと終わらせることができます。

株式交換の合併に比べた場合の5つのメリット

では、株式交換は合併に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか? 上記2つの相違点によって生まれるメリットを確認してみましょう。

メリット1.統合の手続が圧倒的に少ない

実際に合併をやってみると誰もが痛感するところですが、合併の手続というものは非常に大変です。単に登記をすれば終わりではありません。
特に従業員さんの労務手続が非常に大変で、説明会を開いたり社会保険手続を踏んだりと、その作業は迅速かつ確実に進めなければなりません。社名も確実に変わるため、取引先の口座変更手続や銀行口座名義の変更なども必要です。

これに対して株式交換では、法人格はそのままですので、ほとんど実施する手続がありません。必須なのは、株式を新たに発行する際の登記ぐらいです。

メリット2.手続期間が圧倒的に短い

上述のとおり、株式交換では通常は「債権者保護手続」は不要です。そのため、書類さえ整えばすぐに成立します。

厳密には、2週間程度前から「事前開示書類」と呼ばれるものを作らなければならないのですが、株主が余程多くない限りは、まぁ作られていません。また、株主総会も全員の同意が取れれば招集手続は不要なので、一般的な中小企業なら1日あればすべて完了できます。

メリット3.統合しなくてもよい部分が大きい

合併をしてしまうと、たとえば従業員の給与テーブルなど、統一しなければ格好がつかないことは多々あります。

これに対し、株式交換はあくまで別会社ですから、給与格差があってもそう大きな問題にはなりません(もちろん、現場の顔色を見ながらの判断になりますが)。

子会社が別事業の場合や遠方の場合などは、無理に法人を統合してしまうことで混乱を招きかねないため、統合する部分としない部分を柔軟に決められる株式交換にメリットが生まれます。

メリット4.社員・従業員の精神的負担が少ない

組織再編で一番の課題はヒトの心の問題です。合併は従業員さんたちに転籍を強いる手段であり、他人が思っている何倍も大きなストレスをもたらします。

株式交換では転籍もなければ会社も存続するので、短期的な精神的負担は遥かにライトです。ただし、100%子会社化されたということ自体にストレスを感じるため、その点は軽視せずにしっかりとケアしてあげてください。

メリット5.中小企業の優遇措置が使えることも多い

中小企業が大企業に吸収合併された場合、国や行政の多くの中小企業優遇措置は適用対象外になります。

これらの優遇措置の多くは、その法人ごとに適用可否を判断しますので、大企業の100%子会社であっても適用できたり、適用要件が甘くなるものも少なくありません。たとえば中退共(中小企業退職金共済)は大会社の100%子会社でも加入を続けられます。

株式交換の合併に比べた場合のデメリット

株式交換には以上のようなメリットがある反面、デメリットもあります。以下では合併に対するデメリットを確認しておきましょう。

デメリット1.一体感は比較的弱い

合併は名実ともに1つの法人組織になることですので、組織内の一体感を作りやすいというメリットがあります。これに対して、それぞれの法人組織が存続する株式交換では、どうしても所属法人の壁は生まれてしまいます。

実は合併でも、「出身組織の壁」は生まれるものですが、実際に目に見える形で境があるのとないのとでは、壁を取り払う困難さは大きく異なります。

デメリット2.人材融通に制約がある

上記の一体感にも関するのですが、法人が2つあることによって、人材を自由に行き来させることに制約が生まれます。

合併であれば1つの社内の部署移動ですが、親子会社関係であれば、出向(在籍出向)や転籍という扱いになります。給与負担の計算や雇用保険手続といった煩雑な手続を踏む必要が生じます。

デメリット3.資金融通に制約がある

人の流れと同様に、お金の流れにも制約が生まれます。

法人間で資金を移動させる際、それが売上なのか、配当なのか、貸付なのかと言った、資金移動の名目をはっきりさせなければなりません。タイムリーな資金移動は貸付金にすることが多いのですが、その場合は金銭消費貸借契約書を作り、正規の手続で貸借することになります。

デメリット4.税金面が非効率になることも

連結納税を選択しない限り、税金計算は法人単位で行うことになります。よって、親会社が黒字で子会社が赤字と言った場合でも、親会社は黒字分の税金を納付する必要があります。

金額は必ずしも大きくないですが、住民税均等割も2社分発生します。

親子間で決算日をずらし、利益をキャッチボールすることで将来に先送りするというテクニックもありますが、実際やってみると簡単でない上に効果はそれほどでもなく、これを狙って親子関係を作るほどでもありません。

デメリット5.「子会社」が長期的にマイナスに働くことも

メリットの面で、吸収合併するよりも子会社にしたほうが、社員・従業員の精神的負担が少ないと説明しました。これは合併という大きなイベントの瞬間の話で、長期的に見れば「大企業の子会社の人」よりも「大企業の一員」のほうがいいという従業員さんは少なくありません。

特に同業者同士の株式交換の場合、子会社となった会社の従業員は劣等感を感じることがあります。このような劣等感に気を配って、後述するように株式交換後に合併に移行したり、株式交換ではなく株式移転を選択することもあります。

繰り返しになりますが、組織再編の最大の課題はヒトの問題です。その点は最大限気を遣っていきましょう。

株式交換→合併もポピュラーな流れ

最後に、株式交換と合併を組み合わせる方法についてご説明しましょう。

上記のとおり、株式交換は短期的には多くのメリットがありますが、長期的には合併のメリットを得たほうがよいと考えられるケースも多々あります。そのため、一旦株式交換で経営統合を先行させ、一定の準備期間を設けたうえで、最終的に合併するという流れもポピュラーに行われています。

いきなり合併するのは非常に大変ですので、株式交換によって両組織を馴染ませたうえで、最終的に合併します。上場会社同士が合併する際は、この手順を踏むことが多いです。

組織再編は失敗したら社内外が大混乱に陥る一発勝負ですので、石橋を叩いて渡る慎重さが必要なのです。

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