会社合併成功ノウハウ

要注意!合併の3つの失敗事例と成功の絶対条件

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組織再編の失敗事例と成功の絶対条件

グループ会社であれば、合併を「成立」させることは、そう難しいことではありません。司法書士さんに頼めば必要な手続は整えてくれ、2カ月もすれば法的には合併が成立します。

しかし、それは「成立」であって、「成功」とは限りません。合併の成功とは、合併に際して目標としたことが達成され、かつ、大きな問題が起こらないことです。それができなければ、合併の成立は無益どころか有害です。

今回は、合併の失敗事例を3つ紹介し、そこから読み取れる成功の条件をご案内します。合併を成功させたいのであれば、必ず一読されることを強くお薦めします。

3つの合併失敗事例

ご紹介するのは、合併の目的を達成できないばかりか、会社の基盤が揺らぐほどの問題が発生したケースです。

いずれも合併の本質的な無理解が原因であり、多くの示唆に富んでいます。

合併失敗事例①:社内が大混乱に!

軽い気持ちで合併したら・・・

A社は数年前に設立したグループ会社X社の業績が思わしくないため、税理士の薦めで節税も兼ねて合併を行いました。いつも不動産登記を依頼している司法書士に依頼し、株主総会議事録に判子を押すなどして待っていると、1カ月後に合併が成立した旨の連絡が届きました。

そこで、従業員に、X社と合併したことを発表したところ、社内は大混乱に。実は、合併のような会社の重要意思決定はなるべく限られた人員で進める社風だったため、大半の社員に合併計画を伝えるタイミングを逸していたのです。グループ会社なのだから、スムーズに合併できるだろうという甘い見込みもありました。

合併はみんな素人

X社の従業員にとっては、所属する会社が変わるのことは一大事です。「近々合併するらしいぞ」という噂は流れていたものの、まさかいきなり発表されるとは思わず、何がどう変わるのかわかりません。というか自分の職は保証されるのか、上司に尋ねても、上司本人も寝耳に水です。不安は日々募るばかりです。

実はA社もまた大混乱に陥っています。特に驚いたのは人事部。突然大量の新入社員が入社するようなもので、それぞれの給与は変わるのか、手続はどうなるのか、システム入力は誰がするのかと、大騒ぎになりました。合併に伴ってリストラがあるのでは?という噂も広がりますが、どう対応すればいいのかわかりません。

外部はもっとわからない

さらにX社では、合併で会社名が変わることをいち早く取引先に連絡する社員と、会社の指示があるまで待つ社員に分かれました。その結果、合併の事実を先に知った取引先と、しばらく知らなかった取引先に分かれてしまいました。

先に知った取引先は口座登録がどうなるのか、X社担当者に尋ねますが、X社担当者もわかりません。A社に問い合わせてみましたが、A社の人もわかりません。社内の混乱は取引先の知るところとなります

慌てて手を打っても効果は薄く・・・

現場の悲鳴に慌てた社長は、合併に早くから携わっていた役員を責任者とする「合併推進会議」を発足します。

ところが、毎週の会議で次から次へと課題が飛び込んできて、会議は毎度の大騒ぎ。責任者となった担当役員も、合併前はまさかこんなに混乱するとは思っていなかったため、その都度詳しい状況を把握し、専門家に相談し、時間とコストをかけて解決していくしかありません。通常業務だけでも忙しいので、話は遅々として進みませんでした。

結局、自体が収束するまでに1年ほど費やしました。確かに一部節税にはなったのですが、混乱によって生じた時間、費用、そして傷ついた信用に比べれば、微々たる成果だったと言わざるを得ません。

合併失敗事例②:現場が動いてくれない

B社はジャスダックに上場しているIT企業で、成長を加速させるため、同業他社であるY社を買収することにしました。B社とY社の事業は相性がよく、事業を一体化させることによって高いシナジー効果が期待できるため、買収後半年程度での合併を企画しました。

極秘進行がアダとなり・・・

企業買収は双方が合意するまでは極秘で進みます。買収が合意に至り、社内外に一気に発表したのですが、その反応はちょっと意外でした。投資家からは高評価だったのに、B社社内からはあまり反応がありません。「へー、買収するんですか」程度の感想です。

買収成立後、社員に半年後の合併を目指すことを発表しても、どこか他人事。人事部は転籍手続を調べたり、経理部は会計処理を調べたりするのですが、どうも自分の仕事ばかり見ていて、全社的な関心が薄いような気がします。そして肝心カナメの営業部や開発部は、「どうせすぐには部門統合しないんでしょ」と高をくくって、ほとんど何もしていないように見えます。

何をすべきか誰もわからず

社長としては、こんなときこそ一喝してみんなの尻を叩きたいのですが、結局何をしてほしいのか社長もわかっておらず、具体的な命令を下せないまま、ただ無為に時間が流れるのを見ているだけでした。

B社はそれでも予定どおり合併を実施し、特段大きなトラブルなく会社だけは統合できたのですが、営業部や開発部は2つの部門を併存させたままにせざるを得ませんでした。結局、当初期待したほどのシナジー効果は実感できず、何のためにわざわざ合併したのかよくわからない結果に終わりました。

合併失敗事例③:デュー・ディリジェンスが役に立たない!

東証一部上場企業の小売業であるC社は、同業のZ社を買収することにしました。Z社の店舗立地に注目した買収であり、買収後に素早く合併し、Z社の店舗を順次C社の店舗に改装していく計画を立てました。

通り一遍のデューディリジェンス

C社にとっては初めての買収だったため、買収時に中堅監査法人にデュー・ディリジェンスを依頼し、大きな粉飾がないかを確認してもらいました。その結果、資産除去債務(将来の撤退費用を負債計上すること)の未計上が発見されたため、Z社オーナーとの価格交渉で同額を値下げしてもらいました。

そのような一連の手続を経て、Z社の買収が成立し、役員一同一安心でした。しかし、大変なのはこれからだったのです。

買収後に吹き出す問題

C社はさっそく合併し、店舗を改装しようとしました。ところが、零細企業だったZ社が突然上場会社C社に変わったことにより、店舗の大家さんが過去に値下げした家賃を値上げしろと交渉を仕掛けてきました。

さらに、Z社の仕入先にとっては取引がなくなる一大事。大手C社と取引を開始できるチャンスだと思う仕入先もありましたが、ハナから諦めて急激に態度を硬化させる取引先もあり、商品仕入れが急激に難しくなってしまうなど、流通に大きな障害が生じてしまいました。

また、店員さんの接客マニュアルもガラリと代わり、現場でも混乱が生じていました。少なからず愛着のあった会社が突然なくなっただけでもストレスである上、一部の優秀な人材は、大きな会社の外様社員になったことで出世の道が閉ざされたと感じ、退職していきました。このような混乱がお客様に伝わり、売上を大きく落とすことになってしまいました

何のためのデュー・ディリジェンスだったのか?

振り返ると、大家さんとの家賃交渉にせよ、取引先との関係にせよ、従業員の混乱にせよ、事前にしっかりと調査し、準備しておけば、もっと適切な対策がとれたはずです

一言にデュー・ディリジェンスといっても、その内容には様々なものがあります。子会社化のためのデュー・ディリジェンスと合併のためのデュー・ディリジェンスもまた、実施する内容が異なります。

C社はM&Aの経験が浅く、将来どういうことが起こるか予想できなかったため、些末な発見事項で満足していました。将来を見通せる専門家やコンサルタントがついていたら、また違った結果になったでしょう。

合併を成功させる3つの絶対条件

以上の事例を踏まえて、弊社が考える合併成功の3つの要件は以下の3つです。

  • 社員一丸となって取り組むこと
  • 入念なスケジュールを作ること
  • 適切なデュー・ディリジェンスを実施すること

合併成功の条件①:社員一丸となって取り組むこと

合併は会社の活動全般に影響を与えるため、どの部署の誰にとっても一大事であるはずです。心の底で他人事だと感じている人が多いほど、合併は失敗に近づきます

特に重要なのは、社員に合併することを伝えるタイミングです。合併は実行が曖昧な段階で公表すべきではありませんが、急に発表されたのでは「他人事」にしか思えません。だからこそ、いつ、誰に、何を、どのように伝えるかが非常に重要になります。

なお、絶対にやってはいけないことは、我々のようなコンサルタントにすべてを「丸投げ」することです。コンサルタントを使っていただくことで成功率を跳ね上げる自信はありますが、会社のメンバーが真剣に自分たちのことだと感じない限り、合併の成功はありえません

合併成功の条件②:入念なスケジュールを作ること

合併スケジュールは合併成功までのロードマップであり、合併成功の仕掛けそのものです。

合併スケジュールは状況に応じて時々刻々と変わるものですが、常に全体像を見据え、どんな課題が残っているのか、それを誰が、いつまでに、どのように解決するのかを確認するためにあります。しっかりした合併スケジュールによって、社員さんたちの関与意識も高まりますし、全員の努力を有機的に成果に結び付けることができます。

合併スケジュールは、社内に合併責任者を決め、その人が責任をもってまとめます。これは合併成功のキモ中のキモなので、これを作る人が合併のリーダーです。

とはいえ、当然一人で何でもできるわけではないので、各部署にも担当者を置き、また外部コンサルタントも使いながら、入念なスケジュールを練っていきましょう。

合併成功の条件③:適切なデューディリジェンスを実施すること

しっかりした合併スケジュールを作るためには、しっかりしたデューディリジェンスを行うことが必須です。デューディリジェンスで発見された問題点が、合併作業で乗り越えるべき課題になり、その方法をまとめたものが合併スケジュールです。したがって、適切なデューディリジェンスなくして適切な合併スケジュールは作れません。

デューディリジェンスとは、合併前に行う事前調査のことです。詳しくは「合併成功に不可欠なデューディリジェンスのポイント」も併せてご覧ください。

上述のとおり、デューディリジェンスにもいろいろな内容があります。会社の財産を評価するためのデューディリジェンス、収益性を評価するためのデューディリジェンス、違法行為がないかを確認するデューディリジェンスなど。これらのすべて立派なデューディリジェンスには違いありませんが、グループ会社を合併するときにはあまり役に立ちません

合併において適切なデューディリジェンスを実施するコツは3つあります。

適切な外部コンサルタントを使うこと

デューディリジェンスは、その目的よってどんな人を使うべきかが決まります。合併であれば、合併に精通したコンサルタントや専門家を選びましょう。

外部コンサルタントにすべてを丸投げしないこと

難しいことはコンサルタントに任せるべきですが、無関心であってはいけません。コンサルタントは合併そのものには精通していますが、貴社の個別事情には詳しくないため、社内の方が連携しないと一般論に終始した浅いデューディリジェンスになってしまいます。個別事情にマッチした内容にするために、弊社では社内担当者様の同席をお薦めしています。

なお、デューディリジェンスの担当者は合併の担当責任者で、合併スケジュールの作成責任者であることが望ましいでしょう。

事前にメンバー全員で合併の目的を確認すること

デューディリジェンスの内容は合併の目的により決まります。合併の目的を確認することによって、デューディリジェンスのキモが販売なのか、本社機能なのか、税金なのかといった本質を確かめることができます。

これをしておかないと、ピントのズレたデューディリジェンスになってしまい、お金と時間が無駄にかかるばかりか、何が重要なのかすらわからなくなってしまいます。

合併の成功は難しくない!

以上のようなポイントさえしっかりつかんでおけば、合併は決して難しいものではありません。一番大事なのは、しっかりした準備をして、執念深く成功に向かう愚直さです。

弊社では、そんな合併成功のためのお手伝いをさせていただいています。ご相談は無料ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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