会社合併はそう安くできるものではありません。合併に必須手続きである官報公告や登記費用だけで20~30万円程度かかりますが、これは合併を「成立」させるために必要な費用で、合併を「成功」させる費用ではありません。合併したはいいけど、社内が大混乱に陥ってしまったとか、後からとんでもない税金が発生することがわかったという例は枚挙に暇がありません。
合併の成功、すなわち、当初描いていた合併の目的が達成され、さらに大きなトラブルがない合併を実現するためには、それなりにコストが発生してしまいます。会社の大きな転換点でケチると往々にして「安物買いの銭失い」になるのが経営の常ですが、それでも、同じ程度の成功率を確保するなら、高いより安いほうがいいですよね。
そこで、クオリティの高い外部専門家やコンサルタントを使って、高い成功率を維持しながら、一方でトータルコストを節約する、一挙両得の方法をご案内します。
合併に必要な作業とコスト
よく「合併するための一通りの作業を教えてほしい」と言われますが、「一通りの作業」は存在しません。合併を「成立」せるための一通りの作業はありますが、実際の合併で必要になる作業は、会社の状況と合併の目的によって異なり、100の合併があれば100通りの作業があると考えてください。
そのうえで、あくまで総コストをイメージするための「比較的多い共通項」としての作業を挙げると以下のようなものがあります。
法務文書の取り揃えと公告・登記
法的に合併を「成立」させる作業です。通常は司法書士に依頼して整えてもらいます。
合併公告や登記手数料など、誰がやっても必ず発生する経費は、会社形態や決算公告の状況によって変わりますが、だいたい20~30万円ぐらいかかります。
司法書士さんへの報酬は、司法書士さんの腕、合併の難易度(外部株主がいるかなど)や合併までの時間などで変わります。組織再編がちゃんとできる司法書士さんに普通の合併を普通の時間で依頼した場合、20~30万円ぐらいです。15万円を切る価格でやってくれる人もいますが、経験上あまりいい思い出がありません(笑)
税務面の影響確認、顧問税理士サポート
合併はちょっと方法を間違えただけでとんでもない税金が発生することがあります(詳しくは「うっかりミスで経営破綻?合併で発生する税金に要注意」をご覧ください)。また、相続税の金額が大幅に変わってしまうこともあるので注意が必要です。
うっかりした税務事故を防ぐためには、事前に「組織再編に精通した税理士」に確認する必要があります。この「組織再編に精通した税理士」はかなり稀少で、「顧問税理士さんに相談したけど、見るからによくわかっていなかった」という話は山ほどあります。そんなときは、いつもの顧問税理士さんとは別に、専門の税理士にサポート役として依頼することになります。
具体的には、税金発生のシミュレーション計算、税金を安くするためのスキームづくり、「税務意見書」の作成、顧問税理士への申告方法の指導などを依頼します。「税務意見書」とは、合併が適格合併か非適格合併かや、繰越欠損金が使えるか否かといった判定の論拠をまとめたものであり、税務調査で調査官に論理的に説明する際や、金融機関への説明用に使います。
報酬は、会社規模やこれらのうちどれを依頼するかによって大きく変わりますが、普通の会社で40~50万円程度はかかるものだと考えておきましょう。
デューディリジェンスと合併スケジュール作成
法務、税務は司法書士や税理士に任せることになりますが、会社のビジネスは法務や税務だけで動いているわけではありません。人事労務や業務フロー、組織図、取引先や金融機関対応など、実際の仕事は山ほどあります。
これらを抜かりなく実施し、合併の目的を達成するためには、適切なデューディリジェンスと合併スケジュールの作成が欠かせません。詳しくは「要注意!3つの合併失敗事例と成功の絶対条件」をご覧ください。
これらは外部に丸投げできるものではありませんが、成功率を高めるなら、組織再編に精通したコンサルタントを使いましょう。報酬は、これこそ会社の状況と合併の目的によって大きく変わってきますが、少なくとも数十万円は必要になります。
その他、社会保険労務士や弁護士、システム会社など、会社の状況と合併の目的に応じて様々な外部専門家が必要になることがあります。
合併の費用が大幅に安くなった驚きの方法
上記のように、本気で合併を成功させようと思ったら、様々な専門家を呼ぶことになり、必然的にコストは上がっていきます。合併のような特殊イベントでは精通した専門家を使うことが成功率を上げる秘訣であり、安さで選ぶととんでもない失敗を招く危険が高まります。
しかし、同じ結果ならキャッシュアウトは少ないほうがいいに決まっています。以下では弊社が仕掛けた驚きのコスト削減策をご紹介しましょう。
優秀な専門家を個別に集めた事例
A社は、合併を成功させるべく、優秀な専門家を探すことにしました。社長自ら各種専門家に合併について質問してみれば、頼りない専門家はすぐにわかります。多くの質問に即答でき、誠実そうな人を絞ったところ、次のようなコスト状況になりました。
専門家 | 主な依頼内容 | 見積報酬額 |
---|---|---|
司法書士 | 法務スケジュールの調整 契約書や議事録の作成 官報公告手続 登記申請手続 | 30万円 |
税理士 | 合併スキームの相談 税務シミュレーション計算 税務意見書の作成 顧問税理士サポート | 40万円 |
社労士 | 社会保険関係手続 総務人事部サポート | 15万円 |
コンサルタント | デュー・ディリジェンス 合併スケジュールの作成支援 | 40万円 |
小計 | 125万円 | |
公告・登記費用 | (行政等に支払う経費) | 27万円 |
合計 | 152万円 |
うーん、ちょっと高いよねというのが社長の率直な感想。合併の成功のためには仕方ないとはいえ、もうちょっと安ければ助かる、という印象でした。
全部まとめたら、安くなる
そこで、弊社では各専門家業務も全部まとめて、全体的なサービスパッケージとしてご提案しました。弊社が各専門家の業務範囲を調整し、総額でご提案させていただきました。
専門家 | 主な依頼内容 | 見積報酬額 |
---|---|---|
弊社が組成する専門家チーム一括 | 法務スケジュールの調整 契約書や議事録の作成 官報公告手続 登記申請手続 合併スキームの相談 税務シミュレーション計算 税務意見書の作成 顧問税理士サポート 社会保険関係手続 総務人事部サポート デュー・ディリジェンス 合併スケジュールの作成支援 | 70万円 |
公告・登記費用 | (行政等に支払う経費) | 27万円 |
合計 | 97万円 |
どうでしょう、公告・登記費用を除いた報酬総額は、バラバラに契約する場合の125万円から55万円減の70万円、実に44%もの大幅カットで、費用総額は100万円を切ることができました。削減額が当初のコンサルタント報酬(当社の取り分)を上回っているのがなんだか悔しいところです(笑)
クオリティはもちろんそのまま
金額が大幅に下がったので、全体的に業務のクオリティが下がったのでは?と思われるかもしれませんが、もちろんまったくそんなことはありません。合併は大きなトラブルもなく、当初の目的を達成しています。
もちろん、常にここまでコストダウンできるとは限りません。この方法も会社の状況と合併の目的によって成果が変わります。しかし、大きなコストダウンの可能性がありますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。ご相談は無料でお受けしております。
無料相談については、「会社合併の無料相談」をご覧ください。
合併費用が大幅に下がる5つの秘密
では、なぜ契約をパッケージとしてまとめるだけで、クオリティを下げずにこんなに大幅なコストダウンができるのでしょうか。
企業秘密です!と言いたいところですが、それでは信用されませんので、その秘密をご説明しましょう。
合併コスト削減の秘密①:ムダのないコミュニケーション
組織再編は複雑な制度であり、ちょっと方法が変わってしまうだけで必要な書類が大幅に変わってしまったり、全く異なる計算が必要になったりすることが多々あります。
そのため、組織再編に精通した専門家にとって、「素人」が入り込むのは非常に厄介なことです。会社の方の経験が浅いのは仕方ないとして、自分以外の専門家がうまく案件を回せないと、大きなとばっちりが自分に降りかかってきます。
実は、組織再編の専門家報酬には、このような「時間ロス引当分」が上乗せされています。
そこで、我々のような組織再編全般に広く深く精通したコンサルタントが間に入ることで、他の専門家の品質を確保し、クッション材として機能することができます。これにより、「時間ロス引当分」を縮小できるので、報酬を下げることができるのです。
合併コスト削減の秘密②:重複のない依頼
専門家には業務分担があります。司法書士は法務手続、税理士は税金計算といった形です。ただ、実際の組織再編実務はこのようにキレイに分かれているわけではなく、それぞれの専門領域が重複する箇所が多々があります。たとえば、未払残業代は、法律、会計、税務、人事労務が絡み合う難しい領域であり、下手をすると全員がその検討を含めた見積りを出してきます。
そこで、弊社が合併に必要な作業を適切に切り分け、適切な専門家に漏れ・重複なく依頼することで、作業の重複によるコスト増加を防ぎます。
合併コスト削減の秘密③:段階的デューディリジェンス
弊社ではデューディリジェンスを「2段階+準備」の3プロセスに分けて実施します。
詳しくは「合併成功に不可欠なデューディリジェンスのポイント」に記載しているとおり、まず特に重要な分野を優先的に調査し、そこから重要性を判断しながら検討事項を広げていきます。
このプロセスを踏むことにより、さほど重要ではない事項に対して時間をかけることがなくなり、的確に本質を抑えつつ無駄のない合併作業をすることができるのです。
また、段階的にデューディリジェンスを行うことで、仮に合併を途中で中止した場合でも、調査を行った分までのコストに抑えることができます。
合併コスト削減の秘密④:作業依頼の明確化
組織再編に慣れていないと、司法書士には「法務全般をよろしく!」、税理士には「税務全般をよろしく!」と依頼してしまいます。しかし、それぞれの専門領域で検討すべきことは、重要なものからそうでないものまで幅広くあり、どこまでやったら満足してくれるのかは明確にはわかりません。そのため、追加依頼に対しても十分対応できるバッファーを設定した価格設定になりがちです。
弊社から専門家へ依頼する場合は、「この資料を使って、これの作成とこれのチェックを、いつまでに、どの程度の精度で」と具体的に指定し、追加が発生した場合は別料金にします。これにより、受注する側も無駄のない見積りを作ることができます。
合併コスト削減の秘密⑤:コアな専門家への依頼
組織再編の世界は広く、非常に複雑ですので、一言で「組織再編に精通した専門家」と言っても、実はさらにその中に得意分野がわかれています。たとえば組織再編の法人税には非常に強くても、外国税額が絡むとなかなか苦手という人は多いです(そもそも外国税額に詳しい税理士は、組織再編に詳しい税理士と同じぐらい希少です)。
そんな中、自分の不得意な分野もセットで受注してしまうと、勉強の時間が必要だったり、さらに他の専門家のチェックを受けたりと、どうしてもコストが嵩んでしまいます。
弊社は、様々な得意分野を持つ様々な専門家とのネットワークを構築しており、たとえば同じ税務分野でも、適材適所の税理士を組み合わせることが可能です。それぞれの専門家が得意なコアな部分のみを依頼し、高いクオリティと無駄のないコストマネジメントを実現しています。
あくまで、合併の成功が絶対条件!
今回は会社合併に必要な費用を安くする節約方法について記載しましたが、合併で重要なことはコストを節約することではなく、合併の目的を達成し、かつ、大きなトラブルを防ぐことです。
弊社も「とにかく安くして」「〇〇万円以下でまとめて」というご要望を受けますし、可能な限りご要望が達成できるよう努力しますが、合併の成功に支障ができるようなコストダウンは提案いたしません。コストダウンはあくまで2次的な効果としてお考えいただければと思います。
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