column

多数のM&Aアドバイザーに会うことの2つのリスクと対処法

中小企業M&Aでは、仲介会社などのM&Aアドバイザーの関与が不可欠です。

M&Aアドバイザーの品質は玉石混交で、昨今非常に質の悪いアドバイザーが多く業界に流入しています。老舗大手のM&A仲介会社でも、急成長と人材難を背景に同様の状況となっています。

そのため、弊社ではM&Aアドバイザーは付き合いや紹介だけに頼らず、複数のアドバイザーに会って、自分の目で実力と相性を確かめることをおすすめしています。(詳しくは「初心者にオススメなM&A仲介の選び方!大手ランキングや手数料比較」をご覧ください)

複数のM&Aアドバイザーを比較することは推奨するのですが、とはいえ、一度に7~8社とアポイントを取ることはおすすめしません。M&Aアドバイザーとのコンタクトは小出しに行ったほうがいいでしょう。

今回はその理由についてご説明しましょう。

M&A成功のコツがわかる本 M&A成功のコツがわかる本

多数のM&Aアドバイザーに会うことの2つのリスク

なぜ、一度に多数のM&Aアドバイザーに会うべきではないのでしょうか。その理由は、以下のようなリスクが大きいからです。

リスク1.口車に乗せられるリスク

M&A仲介会社の営業担当者の中には、口がうまい方が多いです。「M&A仲介は仕入の商売」という言葉があるほど、優良な売り案件を見つけて来るのがビジネスの要諦ですので、仲介会社としても口のうまい方を採用し、優遇します(転職サイトを見るとよくわかります)。

口のうまい営業担当者全員がそうであるとは言えませんが、詐欺に近いような営業トークをする人間が入り込む土壌はあるということです。実際、大手中小問わず、そのような営業マンを積極採用しているとしか思えないM&A仲介会社は何社も存在します。

売り手オーナーの大半はM&Aの素人であり、財務や法務の難しい理屈をこねくり回しておけば、なんとなく頭のいい人に思われますので、心得のある人ならその気にさせるのは簡単です。

M&Aアドバイザーに会う人数が増えれば増えるほど、このような詐欺師のような相手に会う確率が増えますので、要注意です。

M&A仲介アドバイザーのビジネスモデルについて、より詳しくは「業者に騙される前に知っておきたいM&A仲介のビジネスモデル」をご覧ください。

リスク2.情報流出のリスク

M&Aは極秘で進めるべきであり、情報流出には細心の注意を払う必要があります。しかし、残念ながらその意識が低いM&Aアドバイザーは山ほどいます。

守秘義務契約前はおろか、守秘義務契約を結んだ後であっても、少し調べれば対象会社が特定されるようなことを平気で言って廻る者もいます。本店所在地や事業の特徴など、対象会社がほとんど特定できる情報を買い手候補にほのめかし、その会社が売れそうかどうか見定めるのです。

この辺は「この会社は大手だから大丈夫だろう」と思っていると痛い目を見ます。私自身、具体的なことは書けませんが、大手某社から半笑いで「完全アウト」の情報をいただいたことがあります。

秘密を守るには、秘密を知る人間の数を減らすことが一番です。多数のM&Aアドバイザーに会うことで、M&Aが公然の秘密になりかねません。

M&Aアドバイザーには小出しに会うのが吉

上記のとおり、多数のM&Aアドバイザーに会うことはおすすめしません。いくら複数のアドバイザーを比較すると言っても、片っ端からM&A仲介会社に電話することはしないようにしましょう。

おすすめしたい会い方は、「小出しにして会う」ということです。

最初は評判や紹介、本・Webサイト・セミナーでの印象が良いM&Aアドバイザーを2~3社ピックアップし、連絡して話を聞きましょう。その結果、「ここだ!」と思うところがあれば良いですし、なければもう1社呼んで比較対象を増やしていきましょう。

このように、小出しに会っていくのが、リスクを抑えながらベターなアドバイザーを探す方法です。

M&Aアドバイザーを他人に紹介してもらうときの注意点

なお、最初に会うM&Aアドバイザーを「紹介」してもらう場合、紹介された仲介会社から紹介者に紹介手数料が回るという事実を知っておきましょう。

本当に自分に最適だと思って紹介してくれているのか、それとも単に紹介手数料が高いところを紹介しているのかは見極める必要があります。詳しくは「巧みな話術に要注意?株式譲渡M&Aの初期の相談相手とその裏側」および「オススメなんてカネ次第?M&Aのウラで動く紹介手数料の話」をご覧ください。

この記事をシェアする

関連記事

【事例】40億の借金を返した経営者は、なぜ会社を売ったのか?湯澤剛氏が語る事業承継M&Aの苦悩と後悔

事業承継や、その手段としてのM&Aにお悩みの方は、ぜひ同じように事業承継に悩まれ、M&Aを実際に行った方の体験談に耳を傾けていただきたいと思います。そこには当事者が現実に感じた生々しい事業承継M&Aの実態があり、多くの教訓や示唆に富むものでしょう。 ただ、M&A仲介会社が主催するセミナーに行っても、「M&Aの成功者」が語る「M&Aの素晴らしさ」しか聞くことができません。それよりも、M&Aを…

M&A価格を高くする「のれん代」とは何か日本一わかりやすく解説!

「のれん」とか「のれん代」、あるいは「営業権」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、その内容についてきちんと説明できる人は、意外なほど少ないのが現状です。 多くの方が、真剣にM&Aを考えながら、のれん代というよくわからない概念に振り回されています。そして、必要以上に複雑に捉え、よくわからなくなり、「よくわからないからプロに丸投げしよう」と諦めます。 そんな状態でM&Aを「成立」させて…

価格だけじゃない!M&Aを「入札」で進める3つのメリット

中小企業経営者である売り手にとって、M&Aの本質は「買い手探し」と言っても過言ではありません。 事業承継を目的としたM&Aであれば、少しでも意に沿う「後継者」を選び出す必要があります。誠実で実力もある買い手企業に会社を託せるならば、価格面はある程度譲歩できるという方も多いでしょう。 一方、価格面を重視するM&Aであっても、買い手選びは非常に重要です。なぜならば、中小企業は「誰が経営をするか?」に…

ネットの「会社売却額査定」は絶対ムリ!仲介は情報弱者に飢えている

M&A仲介会社のサイトを見ると、ときどき、 たった5つの数字と業種を入力するだけで、あなたの会社の売却額を3分で査定します! みたいなプログラムが掲載されていることがあります。 若干の胡散臭さを感じつつも、「ちょっとやってみようかな」と入力してみたという方もいらっしゃるでしょう。 ただ実際には、「決算書の数字と業種を入力すれば、会社の売却額(または適正価格)がわかる」なんて、絵空事もいいところです。…

【初心者向け】M&A仲介とは?業界人が基礎から裏まで全部教えます

昨今「M&A仲介」という業種が大きな注目を集めています。最初は耳慣れないこの言葉に「どんな商売をしている人たちなんだろう?」とか「一体どんな業界なんだろう?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか? このサイトではM&Aについて、基礎知識から深い本質部分まで幅広くご紹介していますが、 そもそもM&Aって何なのか? そこで活躍する「仲介」はどういう仕事なのか? M&A仲介の業界はどんな世界で、…

データで比較!大手M&A仲介3社の実績や特徴、手数料【2020年12月更新】

最終更新情報 2020年12月21日にM&Aキャピタルパートナーズの有価証券報告書が公表されましたので、年収情報や費用分析を更新しました。 近年M&A仲介業がとても注目されています。高い成長率、ランキングの上位常連となった高年収、驚異的な利益率など、世の中全体の脚光を浴びています。 そのため、雨後の筍のように新規業者が参入し、中小規模の仲介業者の数はもう誰にもわかりません。 では、そんなM&A仲介業界の…