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M&A(譲渡)

M&Aで買い手を選ぶときに参考にしてほしい比較の視点10選

M&Aのメリット

中小企業M&Aで、売り手オーナーが非常に悩むのが「どの買い手候補に売るか」という問題です。

これは入札が出そろい、トップ面談が終わると、短期間で決定しなければいけません。大切な会社を引き継いでもらう後継者選びですので、悩ましいのは当然です。

とはいえ、いつまでも悩んでいるわけにはいきません。ご自分で何らかの価値観を明確にして、買い手候補に優劣を付けて1社を選ばなければいけません。

後継者選びは究極の経営判断であり、本来は我々外野が口を出すことではありません。しかし、M&Aを少しだけ知っている人間として、お悩みの売り手オーナーさんに「こんな判断基準も検討すべきじゃないでしょうか」と思うところはあります。

というのも、M&Aを成功させた売り手オーナーさんに「なぜこの相手を選んだのですか?」と伺うと、意外と「そんな視点もあるのか」と思うことがあるからです。これは本当に人それぞれですので、他人の意見が常に自分に適合するわけではないのですが、視野を広げるヒントという意味では価値のある情報でしょう。

そこで、今回は、あくまでも参考として、中小企業オーナーさんに持っていただきたい買い手選びの視点についてご提案しましょう。

自分に最適な買い手後継者を選ぶ10の視点

以下はあくまで「こんな視点もありますよ」程度の話ですが、多くの売り手オーナーさんに持っていただきたい視点です。

視点1.入札価格

当たり前ですが、入札価格は非常に重要な検討要素です。税金等の差引も考慮した最終的な手取り額も含めて確認しましょう。

視点2.誠実さ

トップ面談で感じた相手の誠実さは、単に後継者としてだけでなく、これから本格的に始まる交渉相手として信用できるかという意味でも重要な判断要素です。

不誠実な買い手からの入札を真に受けないように気を付けましょう。

誠実な入札を集めるためには、インフォメーションメモランダムを誠実に作成することが一番です。詳しくは「M&A売価に3倍差が付くインフォメーションメモランダムの記載内容」をご覧ください。

視点3.人間的な相性

売り手オーナーは、M&A後会社からフェードアウトしていきますが、引継期間は必ずありますし、その後も何かと意見や協力をお願いされることがあります。

何か面倒な協力を頼まれたときも、労を惜しまず協力できるようなウマが合う相手に売ったほうが、お互いにとって幸せなM&A後を迎えられるでしょう。

視点4.従業員を任せられるかどうか

これまで自分を支えてきた従業員を任せられますか?

これは、相手の経営能力だけではなく、従業員に対する態度や給与に関する考え方、転勤に関する考え方などです。特に本部社員の処遇は気になるところです。

雇用スタンスはどれが正解というものではないので、自分と違うスタンスの経営者が間違っているわけではありません。しかし、大事な従業員を預ける相手ですので、自分の雇用スタンスに近い相手のほうがポイントが高いのではないでしょうか。

視点5.従業員が喜ぶかどうか

前項と類似しますが、前項は売り手オーナー本人として安心できるかどうかという視点であり、本項は従業員主観でプラスかマイナスかという視点です。

できれば従業員さんには、「良い会社の傘下に入ったぞ」と感じてもらい、実際伸び伸びと働いてもらいたいと思うオーナーさんは多いです。事実として、M&A後に新しい看板やリソース、商流を与えられ、活き活きと働く方は少なくありません。

ただし、一方で「買収されたプロパー社員は永遠に部長以上になれない」という暗黙のルールが存在するグループ企業もあり、この場合は対象会社の従業員さんのやる気は大幅に減退します。それ以外でよくあるのが女性社員に対する考え方で、突然現れた「ガラスの天井」に女性社員がやる気をなくす例もあります。

これら残された人々の人生に関心がない売り手オーナーさんもいますし、それは決して間違いだと言い切れることではないのですが、ご自分がどちらのタイプかを踏まえて、自分の本心に合う相手を選ぶべきでしょう。

視点6.業界内の評判

M&Aは業界内で話題になりやすいものです。有名なブラック企業や、買うことが自己目的化しているM&A中毒の会社に売ってしまうと、売り手オーナーが結構誹謗中傷を受けることがあります。こういう会社はなぜか高値入札を出す傾向にあるため、嫉妬も込みで「あいつは金になびいた」と陰口を言われやすくなります。

もちろん、大事なのは評判より中身ですので、本当に売りたい相手であれば堂々と売ればいいでしょう。ただ、評判の悪い会社に売られたときの従業員さんの動揺は通常のM&A以上ですので、入念なケアをする必要があります。

視点7.シナジー効果

自社の事業と買い手の事業が組み合わさったとき、どのようなシナジー効果が生まれるでしょうか。ワクワクするような化学反応はありますか?

シナジー効果があるM&Aのほうが、買い手にとっての成功にもなりやすく、失敗によるリストラや売り手オーナーに対する八つ当たりが発生する可能性は低くなります。

ただし、シナジーは実現しなければ意味がありません。単なるM&Aや合併で必然的に生まれるものではないので、シナジーの成功率も考慮しながら検討しましょう。

視点8.M&Aの実績

買い手のM&Aの実績を気にするオーナーさんは多いです。その理由の1つは、「買い手がM&A後に対象会社をしっかり育ててくれるか」という点にあります。

過去のM&Aがうまくいったのか、大きなトラブルがなかったかを確認します。やはり、M&Aに失敗ばかりしている会社や、M&Aの数年後に事実上のリストラをした会社よりも、みんなが幸せになるM&Aを実現し、それを成功体験と捉えて再現しようとしている会社のほうが、売ることに対する安心感があるでしょう。

視点9.買い手が作るM&A後の事業計画

M&A後の買い手の事業計画を詳細に確認する売り手オーナーさんも少なくありません。

売った後のことは気にしないという方もいますが、やはり自分が創業した会社がM&A後に伸びてほしいと思う方も多いです。買い手にその夢を託したい方は、どのような事業計画を描くかに強く興味を持っています。

もっとも、買い手選定時点ではデューデリジェンスも行っていないため、買い手としては精度の高い事業計画を描くのは不可能です。その辺は過度な要求水準を持たず、デューデリジェンスを通じて売り手と買い手が一緒にブラッシュアップしていくようにしましょう。

視点10.M&A資金の出どころ

意外と注意したいのが、M&A資金が自己資金なのか、借り入れなのかという点です。

なぜこれが大事かというと、「レバレッジドバイアウト(LBO)」という、M&A資金の大半を対象会社の借入金にする手法があるためです。つまり、売り手オーナーが受け取った分だけ、残された部下たちが借金を背負うことになります。

レバレッジドバイアウトの仕組みについては「LBO(レバレッジドバイアウト)の仕組みをわかりやすく図解」にて図を交えながらわかりやすく解説しています。

レバレッジドバイアウトはファンドが得意とする買収手法であり、彼らがM&Aすると、番頭格の部下が次期経営者になることが多いです。さすがに個人保証に入ることはありませんが、急に巨額の借入金と責任を背負わされ、その借入が売り手に払われたという形ですので、番頭格の新社長と売り手である前社長の関係が悪化することがあります。

要注意!後悔しやすい買い手選定理由

一方、「この選定理由で買い手を決めて後悔した」というケースも見ましたので、ご参考のご参考として、あまりおすすめしない買い手選定理由をご紹介します。

後悔する選定理由1.デューデリジェンスが甘いから

デューデリジェンスが甘いという情報をM&A仲介会社から耳打ちされ、価格交渉上有利になるならという理由で買い手を選定する方がいます。

お金の面を強く意識するなら決して悪い判断ではないかもしれませんが、デューデリジェンスが甘い買い手はM&Aを成功させる能力または意識が乏しいことが多いです。

詳しくは「M&Aのデューデリジェンスが甘い買い手に売り手が注意すべき理由」をご覧ください。

後悔する選定理由2.なんとなく頭がよさそうだから

横文字や小難しい理屈を並べて、なんとなく頭がよさそうなことをいう会社があります。なんとなくそれに酔ってしまって、その場で感じた憧れから選んでしまうという理由です。

売り手さんから直接この理由を言われたことはありませんが、話を聞いているとどうもそんな理由で選んだのではないかと思える方がいました。

頭がいいのは良いことですが、本当に頭のいい人は小難しいことをわかりやすく話します。またM&A関係者はやたら横文字を使いたがります。筆者も業界人と話すときは相当使いますが、そこは相手次第で切り替えるのがマナーだと思っています。

頭がいいと思っていた相手が、実は気が利かないだけで、学問的な知識はあってもビジネスの本質がまったくわかっていない連中だったという結末も少なくありません。

一覧表にすると比較しやすい

以上のような買い手候補の評価ポイントは、一覧表にして買い手ごとに◎、〇、△、×を付けていくと考えが整理しやすくなります(下図)。

評価ポイント A社 B社 C社
価格 6億円 6億円 8億円
誠実さ
従業員を任せられるか
M&A実績

項目は自分が特に大事にしたい価値観として上記のような表を作り、それを眺めていれば、徐々に本当に売りたい相手、売るべき相手が絞られてくるでしょう。

後悔のないM&Aをするために、上記のような手間を惜しまず、しっかり自分の本心と向き合いましょう。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

事業承継を目的とした中小企業のM&Aは、多くが「失敗」と言わざるを得ない結果に終わります。


現実に、仲介会社のペースでM&Aを成立させてしまい、取り返しのつかない後悔を人知れず抱いている元経営者は少なくありません。


実は、事業承継M&Aが失敗しやすいということは、少し考えればすぐにわかるシンプルな理由からです。


あなたがM&Aを成功させたい、後悔したくないと強く考えているなら、事業承継M&Aの構造をきちんと理解しておきましょう。


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