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M&A(譲渡)

小規模事業をうまく譲渡する【スモールM&A】特有の3つのコツ

スモールM&Aで小規模事業を売るコツ

近年「スモールM&A」という言葉をよく耳にするようになりました。

スモールM&Aとは、その名のとおり小規模サイズのM&Aです。小規模の定義は人それぞれですが、だいたい譲渡金額1億円未満であり、1000万円規模の取引も少なくありません。

この金額で取引される規模感としては、店舗ビジネスなら1店舗か数店舗、売上高は多くて2~3億円で数千万円のケースもあり、従業員は数名か、場合によっては社長(個人事業主)1名だけという感じです。

少し前のM&A業界であれば、売上高が1億円未満の会社は売れないものとして、仲介会社から見向きもされませんでした。しかし、今ではスモールM&Aに特化したM&Aアドバイザーやマッチングサイトもあるぐらいで、一定の市場が形成されつつあります。

このようなスモールM&Aに成功するコツは、基本的には中小企業M&Aと同様です。したがって、基本路線としては以下のページをご覧いただければと思います。

事業承継でM&Aを大成功させるための知識と知恵のすべて

しかし、スモールM&A独特の成功ポイントがあるのも事実です。よって、本記事では補足的に、スモールM&Aを成功させるための特有のコツをご紹介しましょう。

スモールM&Aの特徴

まずは、中小企業のM&Aと比較した際のスモールM&Aの特徴を理解しておきましょう。

特徴1.買い手企業は自力成長の補完として買うことが多い

スモールM&Aの大きな特徴として、買い手企業は自力成長(オーガニックグロース)の補完手段としてM&Aを行うことが多いということです。

大企業や中堅企業のM&Aでは、ブランド力や全国レベルの販売網など、M&A以外の手段ではほとんど手に入らない、入っても何十年もかかるという魅力を求めてM&Aが行われます。中小企業M&Aはそこまでではありませんが、一度軌道に乗り切った会社を買うことになるため、やはりイチからビジネスを始めるよりずっと効率的な投資が可能です。しかし、スモールM&Aにはそのような「M&Aでしか得られないメリット」がない、またはかなり稀薄です。

買い手企業としては、わざわざ小規模の会社を買うよりも、自分たちで出店したほうがずっと安全で安い投資になります。それにも関わらずスモールM&Aという手段を選ぶということは、自力成長だけでは成長スピードに満足できておらず、これを補完する意味でM&Aを選択する、ということが多いのです。

特徴2.個人の買い手が付くこともある

一方、スモールM&Aはサラリーマンでも手の届く価格で売買されますので、マッチングサイト経由で個人の買い手から声がかかることもあります。

弊社はサラリーマン個人のM&Aはなかなか難しいと考えていますが、1から起業するよりもいいかもしれません。自分の後継者として迎え入れることは十分考えられるでしょう。

個人M&Aを成功させるために必要と弊社が考えているポイントについては、「サラリーマン個人のM&Aなんて99%失敗すると思うシンプルな理由」をご覧ください。

特徴3.許認可と立地が大きな武器になる

上述のとおり、買い手企業は自力成長の補完としてスモールM&Aを選択しますから、彼らの自力成長を阻害する要因がスモールM&Aのカギとなります。

多くの場合で、それは「許認可」と「立地」です。タクシーやパチンコ店など、業種によっては許認可を新たに取得することが困難であり、これが小規模事業のM&A価値を跳ね上げます。また、店舗ビジネスの場合は立地ほど重要なものはなく、好立地というだけで破格の値段が付くことも珍しくありません。

このように、会社が持っている資産そのものに大きな価値が付くことがあります。これは中小企業M&Aでも同様ではありますが、スモールM&Aでは特に顕著に現れるのです。

特徴4.人材の頭数がポイントになることも

もう1点、中小企業M&Aほどではありませんが、人材不足の影響で「経験者との雇用契約」自体が大きな価値を持つこともあります。

特に一定の資格が必要なビジネスの場合、有資格者の頭数そのものが価格の構成要素になることも珍しくありません。

通常のM&Aでは、人員がダブついていることは損益を押し下げるマイナス要因と考えられますが、スモールM&Aではそもそも人数が少ないため、ある程度の規模の買い手企業は吸収できてしまうのです。

スモールM&Aを成功させる3つの特有のコツ

それでは上述の特徴を踏まえて、スモールM&Aを成功させるための特有のコツを3つご紹介しましょう。

スモールM&Aのコツ1.損益以外をアピールすること

企業が買い手になる場合、それは自力成長の補完として買収し、買い手企業のオペレーションに切り替えられます。本部費はほとんどカットされますし、現場の人員効率も上昇(時には下降)しますので、現状の損益はまったくアテになりません

そのため、損益以外のポイント(持っている財産の価値)をアピールしていきましょう。上述の許認可、立地、人員の他、顧客層や設備の新しさなども重要なアピールポイントになります。もしも特許や意匠を会社として持っているなら、評価してくれる相手を探してみるのもいいでしょう。

スモールM&Aのコツ2.秘密はある程度オープンにすべき

通常は、M&Aでは秘密厳守は鉄則です。秘密を徹底的に守らないと、従業員や取引先の間であらぬ噂が広がったり、営業面で不利に陥ることがあります。

秘密保持が重要なことはスモールM&Aでも同様なのですが、上述のとおりスモールM&Aでは損益情報よりも持っている財産の価値が重要なので、あまりブロックを固くしてしまうと全然評価してもらえなくなってしまいます。

そのため、コアな情報だけはしっかり隠し、それ以外の情報は積極的に開示していきましょう。

スモールM&Aのコツ3.事業譲渡のメリットをうまく活用する

事業譲渡スキームは従業員の転籍や契約関係の巻き直しなど、単純な株式譲渡や会社分割スキームに比べてやることが多いのですが、小規模事業の場合はそこまで大変なことではなく、割と簡単に実行することができます。

一方で、事業譲渡やタテの会社分割スキームの大きなメリットである、過去の責任をすべてカットすることができるため、買い手としては株式売買よりも事業譲渡のほうが圧倒的に買いやすくなります。

事業譲渡やタテの会社分割スキームのリスクカットについては「事業譲渡とタテの会社分割(分社型分割)の違い/税・手続・簿外債務」をご覧ください。

また、のれんの節税効果も発生しますので、単純な株式売買よりも高値でのM&Aが可能になります。

ただし、事業譲渡では許認可は取り直しですので、再取得に問題がある場合は会社分割などを選択すべきこともあります

消費税の免税事業者なら事業譲渡で手取りが上昇する!(期限あり)

なお、もしも売り手が消費税の免税事業者(消費税の納税義務がない事業者)である場合は、事業譲渡を選択することで、買い手に負担を生まずに売り手の手取りを増せる場合があります。

事業譲渡は消費税の課税取引であり、のれんを含めた課税資産に消費税を上乗せして決済されます。通常は、買い手が売り手に消費税を支払い、売り手はその消費税を国に納税します。これは買い手が消費税を負担しているわけではなく、買い手は支払った消費税分を自身の納税額から差し引けます(下図)。つまり買い手は納税額を売り手経由で前払いしているだけですので、プラスマイナスゼロです。この仕組みを「仕入税額控除」と言います。

事業譲渡での消費税

消費税は消費者が負担するものなので、事業者は損も得もないように作られています。

このとき、売り手が免税事業者(消費税の納付義務がない事業者)であれば、買い手からもらった消費税を国に納税する必要はありません。一方で、買い手側では通常通り仕入税額控除が可能です。つまり、売り手は消費税分だけ得をして、買い手側では損も得もありません(下図)。

売り手が免税事業者の場合の事業譲渡の消費税

この仕組みは、言ってみれば国が消費税分だけM&A代金を負担してくれるようなものですので、もし使える場合は非常におトクです。

ただし、将来的には税制改正がなされ、免税事業者と課税事業者の取引では、仕入税額控除ができなくなる予定です(適格請求書発行事業者登録制度/インボイス制度)。2023年10月以降、時間を掛けて段階的に効果が薄れていき、2029年10月には完全に廃止される予定となっています。

インボイス制度については、外部サイトですが、「適格請求書を発行するには事前に登録手続が必要です|やまばた税理士事務所」がわかりやすくまとめられています。

おわりに

今回は、スモールM&Aならではの3つのコツについてご紹介しました。振り返ると以下のとおりです。

  1. 損益以外をアピールすること
  2. 秘密はある程度オープンにすべき
  3. 事業譲渡のメリットをうまく活用する

しかしながら、基本は中小企業M&Aと同じ努力が必要です。そこにプラスして上記のコツを付加するイメージで対応してください。

M&Aは、完璧ではありませんが有効な事業承継手段の1つであることは間違いありません。多くの方に身近な選択肢であってほしいと願っています。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

事業承継を目的とした中小企業のM&Aは、多くが「失敗」と言わざるを得ない結果に終わります。


現実に、仲介会社のペースでM&Aを成立させてしまい、取り返しのつかない後悔を人知れず抱いている元経営者は少なくありません。


実は、事業承継M&Aが失敗しやすいということは、少し考えればすぐにわかるシンプルな理由からです。


あなたがM&Aを成功させたい、後悔したくないと強く考えているなら、事業承継M&Aの構造をきちんと理解しておきましょう。


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