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M&A(譲渡)

M&A仲介会社に最初に相談すべきでない3つの理由と適切な時期

M&Aの相談の時期

事業承継についてお悩みの中小企業経営者さんは多くいらっしゃいます。

後継者不足の有力な解決策としてM&Aがありますが、それについて誰かに相談したくても、いつ、誰に相談すればよいかお悩みではないでしょうか。

このお悩みのうち、「誰に相談するか」については、「巧みな話術に要注意?株式譲渡M&Aの初期の相談相手とその裏側」で、相談相手別の注意点を説明させていただいています。記事内で説明しているとおり、M&A仲介会社の営業担当員の中には、巧みな話術で「M&Aをするべきだ」ということをゴリゴリ説得してくる者が少なくないため、十分注意しておく必要があります。

M&A仲介会社のWebサイトを見ると、「ご相談にいらっしゃるのは早ければ早いほど良いですよ」と書いてありますが、要するに営業トークを聞いてほしいということです。あまり真に受けないほうがいいでしょう。

とはいえ、いつかはM&A仲介会社に会わなければ、M&Aは始まりません。

そこで今回は、「いつM&A仲介会社とコンタクトすべきか」について、筆者の考えをお伝えしましょう。

なお、M&A仲介ではない弊社がよくいただいている相談を「【Q&A】M&Aのご相談で話題に上がった106の質問とその答え」にまとめています。まだまだM&A仲介に相談するのは時期尚早と感じましたら、まずは弊社のQ&A集から情報を集めてみてください。

検討初期にM&A仲介会社と会うことはハイリスク

多くのM&Aアドバイザーと接する中で、筆者は「検討初期にM&A仲介会社と会うことは、大きなリスクを抱えている」と考えています。

ここでいう検討初期とは、(廃業も含めた)事業承継手段がまったくの白紙で、あまり優劣もついていない状態です。

以下では、その時期にM&A仲介会社と会うべきではないと考える理由をご説明しましょう。

会うべきでない理由1.M&Aは優先度の低い選択肢

事業承継の手段はM&Aだけではありません。大きく以下の4つの道があります。

  • 親族内承継(子どもや親類に継がせる)
  • 親族外承継(幹部役員に継がせる)
  • M&A(赤の他人に継がせる)
  • 廃業(事業承継しない)

このうち、お金のことだけ考えるなら、ダントツにM&Aがおすすめです。しかし、人間お金だけが価値観ではありません。

心情を言えば、子どもに継がせたい人が多いでしょう。しかし、今は家業を継ぐのが当たり前の時代ではなく、本人が望まなければ継がせることはできません。

では幹部役員はどうかというと、残念ながら株式の買取資金が用意できなかったり、債務の個人保証が重かったりして、辞退されるということも少なくありません。

親族内承継も親族外承継もダメ、でも廃業すると色々な人に迷惑がかかるから、M&Aで他人に譲渡する、というのが多くの中小企業オーナーの本音です。

つまり、M&Aは本来、優先度の低い選択肢のはずです。お金に拘らなければ、親族内承継や親族外承継の可能性を探る前からM&Aに前のめりになる必要はないのではないでしょうか。

会うべきでない理由2.M&Aアドバイザーの必死の説得

初期の相談を受けるM&Aアドバイザーの中には、親身になって相談に乗ってくれ、ときには「M&Aはすべきではない」「M&Aより先にこれをするべき」とアドバイスしてくれる人もいます。しかし、残念ながらそれは少数派です。

M&A仲介ビジネスは、1件成立させると数千万円の報酬が取れるオイシイ商売であり、また良い会社であればM&Aを「成立」させること自体は簡単なため、売り案件の獲得には必死です。厳しいノルマ制によって生活が懸かっている営業担当も多いため、ゴリゴリ押したり泣き落としたりと、あの手この手でM&Aを決断させようとします。中には「嘘も方便」を地で行く手段を取るアドバイザーも存在します。

このようなM&Aアドバイザーは、残念ながら少数派ではありません。最初にこのようなM&A仲介会社と接触してしまうと、その場の勢いや情に流されて、必ずしも最善ではないM&Aを決断されかねません。

会うべきでない理由3.会社の情報流出の危険性

M&A仲介会社は、本来厳しい守秘義務を負うべきです。しかし、口の軽いM&Aアドバイザーは意外と多いのが実情です。

たとえば、千葉県船橋市で事業を営むあなたが、悪質なM&Aアドバイザーとコンタクトしてしまったとしましょう。M&Aアドバイザーは直後に大手企業(買い手候補)を回り、「千葉県の中ほどにあるF市で〇〇業を営む会社から売り相談があるんですけど、御社興味あります?総武線沿線の駅前なんですけど」と、守秘義務のギリギリを狙った情報開示で市場調査して回ります。ひどいのになると、会社の決算書を勝手に相手に見せて、「御社ならいくらぐらい出せそう?」と訊いて廻ります(これは100%守秘義務違反ですが、実際にあったことです)。

もちろん、ここまで悪質なM&Aアドバイザーとなると少数派でしょう。しかし、大手でもこのような手段を用いるアドバイザーはいます。M&Aの決心が固まる前からこのようなアドバイザーに出会ってしまうと、もうM&A以外の選択肢を取れないほど追い詰められかねません。

M&A仲介会社にコンタクトすべきタイミング

では、M&A仲介会社にはいつコンタクトすべきでしょうか。筆者の私見として、以下の2つのタイミングがベストだと思います。

  • 親族内承継、親族外承継が難しいと判断されたとき
  • M&Aに関する情報収集を行い、M&Aを十分理解したとき

逆に言えば、この状態になるまでは無闇にM&A仲介会社にコンタクトするのは控えるべきでしょう。

まずは後継者候補と話し合おう

M&A仲介会社にコンタクトをする前に、まずはあなたが本当に継いでほしいと思う人に、継ぐ気がないかを確認しておきましょう。

親は継ぐ気がないと思っていても、実は子どもはそのつもりだったということもあります。実際話し合ってみないとわからないことですので、まずは意向を確認すべきでしょう。

銀行や税理士への相談も慎重に

銀行や税理士に相談する人もいますが、正直M&Aを理解している人は少ないです。

むしろ、売り情報をM&A仲介会社に紹介して、裏で紹介手数料を獲得しようとする人のほうが多いです(多くの金融機関はそれをビジネスにしています)。銀行に相談したのに、その場でM&A仲介会社との面談を設定されたという話もあります。

M&Aで銀行や税理士に渡される紹介手数料については、「オススメなんてカネ次第?M&Aのウラで動く紹介手数料の話」をご覧ください。

情報収集は書籍やインターネットで

とはいえ、M&Aを検討するためには情報が必要です。情報収集のためにM&A仲介会社にコンタクトを取る人もいますが、上述のリスクがあるので、それはあまりおすすめしません。

情報収集は可能な限り、書籍かインターネットで行いましょう。当サイトでも、現場の実情をかなり詳しく記載させていただいています。

まずはこのようなメディアで情報を仕入れ、しっかりと理論武装しておけば、悪質なM&Aアドバイザーに騙されるリスクも大きく減るでしょう。

ただし、書籍もWebサイトも、M&A仲介会社が書いたものは斜に構えて読んでおきましょう。結局は広告宣伝物ですので、いいことばかり書いてあります。

セミナー参加の留意点

M&A仲介会社が主催するセミナーや地域の金融機関主催のセミナーに、M&A仲介会社が登壇することがあります。これも結局のところ宣伝でしかないのですが、刊行物ではわからない、彼らの雰囲気を知ることができます。

ただし、後で大量のダイレクトメールや電話が届きます。これが煩わしくなければ、試しに話を聴きに行くのもいいでしょう。数社のセミナーも受けると、多少違いもわかってきます。

もっとも、このようなセミナーを行うのは大手だけです。個人や少人数で経営しているM&A仲介会社(「ブティック系」と呼ばれます)は滅多にしませんが、ブティック系にも優秀な故に独立したアドバイザーはいますので、セミナーがすべてではないことに注意しましょう。

おわりに

今回は、M&A検討の初期に安易にM&A仲介会社にコンタクトすべきではない理由と、いつ相談をすればいいかについて、筆者の考えをご説明しました。

M&Aは魑魅魍魎が跋扈する世界とよく言われます。筆者も「仕事とはいえ、よくそこまで割り切れるなぁ」と感心(?)するようなM&Aアドバイザーを何人も知っています。

彼らは決して稀少な存在ではなく、運悪くコンタクトすると非常に危険です。M&Aは人生の大一番ですから、情報を集めて慎重に行動しましょう。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

事業承継を目的とした中小企業のM&Aは、多くが「失敗」と言わざるを得ない結果に終わります。


現実に、仲介会社のペースでM&Aを成立させてしまい、取り返しのつかない後悔を人知れず抱いている元経営者は少なくありません。


実は、事業承継M&Aが失敗しやすいということは、少し考えればすぐにわかるシンプルな理由からです。


あなたがM&Aを成功させたい、後悔したくないと強く考えているなら、事業承継M&Aの構造をきちんと理解しておきましょう。


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