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M&A(譲渡)

動画で理解!会社の一部事業を売るときのM&A手法の3つの選択肢

会社の一部を売る方法

中小企業でも、複数事業を営んでいたり、複数の店舗や工場を営んでいることは少なくありません。このうち、一部の事業や店舗だけ譲渡したいというニーズは当然あります。

このようなニーズを満たすために、主に3つの選択肢が考えられます。すなわち、

  1. 事業譲渡
  2. タテの会社分割(分社型分割)
  3. ヨコの会社分割(分割型分割)

のいずれかの手法を用いて、会社の一部分だけを譲渡するのです。

上記のうち、事業譲渡は知っているけど、あとの2つはあまりイメージが沸かないという方も多いかと思います。そこで今回は、会社の一部だけを譲渡する3つの方法について、その内容を動画を交えて解説していきましょう。

それぞれの手法のメリット・デメリットについて、より詳しい比較は「4大スキームを図解!中小企業M&A手法のメリットデメリット比較」にて解説しています。

手法1.事業譲渡での部分売却

「事業譲渡」とは、会社法に定められた手続を踏むことで事業を売買することができるという制度です。事業譲渡を行うと、会社が持っている資産を売買することと同じように、事業そのもの(資産負債、契約関係など)を売買することができます。

事業譲渡の法的手続

事業譲渡を行う際は、取引先など1社1社に事業主体(運営会社)が変わる旨を説明し、契約を巻き直してもらう必要があります。また、移動する従業員全員から個別に同意を取り付け、転籍手続を取る手間もかかります。

これらの手続は後述する会社分割に比べて煩雑で、ある程度の規模の事業を売買するには不向きです。一方、小規模事業(小売店1~2店舗)を移すならそこまで大変ではなく、クイックに活用することができます。

「のれん」の償却を損金にできる

動画でもご紹介しているとおり、事業譲渡の場合は「のれんの節税効果」が発生し、税金計算上でのれん相当額を5年間で損金(税金計算上の経費)にできます。これによって、買い手企業において大きな節税効果を得ることができます。

のれんの節税効果については「M&A価格が1.5倍にも!驚きの【のれんの節税効果】徹底解説」をご覧ください。

これは買い手にとっての事業の価値が上昇しているということになりますので、うまく価格交渉に持ち込むことで、M&A価格が1.3~1.5倍に増加することも珍しくありません。

手法2.タテの会社分割(分社型分割)の活用

「会社分割」とは、合併の逆で、1つの会社を2つに分裂させる会社法上の手続です。

M&A対象事業を、この会社分割で子会社にした後、その子会社の株式を売ることを、俗に「タテの会社分割スキーム」と呼びます。

タテの会社分割の法的手続

会社分割は、事業譲渡と比較して、様々な手続が「一括して」できるというメリットがあります。

つまり、取引先や従業員が何百人いたとしても、すべて「会社分割を実施するので、皆さんの契約や債権債務は新会社に移行します」という連絡を行い、一定期間異論がなければ自動成立という流れで契約を移転することが可能です。

正式通知の際のコストや一定期間の異論受付期間が唯一のネックですが、大きな事業も比較的簡単に新会社に移転することができますので、小さくない事業を譲渡する際には非常に重要な手法になります。

タテの会社分割と事業譲渡の違いについて、より詳しくは「事業譲渡とタテの会社分割(分社型分割)の違い/税・手続・簿外債務」にまとめています。

こちらも「のれん」を損金にできる

タテの会社分割の税金関係(法人税)は、事業譲渡とほとんど同一です。したがって、買い手側(M&A対象会社)にのれんの節税効果が発生し、対象会社の価値を引き上げる効果が生まれます。

手法3.ヨコの会社分割(分割型分割)の活用

会社分割には、分割で生まれた新会社を子会社にする方法(タテの会社分割)とは別に、新会社を兄弟会社にする方法(ヨコの会社分割)もあります。M&A対象外の事業や資産を兄弟会社に移し、M&A対象事業のみとなった会社を売るというスキームです。

事業譲渡やタテの会社分割スキームが「会社の中からM&A対象を抜き出して売る」というスキームであるのに対し、ヨコの会社分割スキームは「M&A対象ではない事業を外に出してから、残りを会社ごと売る」というスキームです。

大部分の事業を売るのに適したスキーム

実際にやってみるとよくわかるのですが、動いている事業を別の会社に移すというのは結構大変な作業です。別会社に「越境」させる事業は小さいほうが簡単です

つまり、会社の中でM&A対象となる事業の割合が大きいほど、それは越境させずにそれ以外の事業や資産を越境させたほうが、実務上簡単で安全です。会社の大部分がM&A対象になる場合、ヨコの会社分割は非常に便利なスキームと言えます。

法人税ではなく所得税が課される

ヨコの会社分割スキームは、事業譲渡やタテの会社分割スキームとは構造がまったく異なりますので、課税の掛り方もまったく異なります。

具体的には、M&Aの売主が会社ではなくオーナーになりますので、株主が個人だった場合は法人税ではなく所得税が発生します。法人税率は33~36%(会社規模によって異なります)ですが、個人の所得税は一律20.315%ですので、税率の面だけ見るとヨコの会社分割のほうがメリットがあります。

ただし、法人税と所得税では計算方法が若干異なり、常に所得税のほうが税額が安くなるわけではありません。スキーム別の税金の掛り方については「初心者でもすぐわかる!中小企業M&Aの税金をパターン別に徹底解説」にて詳しく解説しています。

なお、会社分割自体にはほとんどのケースで税金は発生しませんが、ごくまれに多額の税が発生してしまうことがありますので、必ず専門の税理士にご確認ください。

のれんの節税効果は発生しない

なお、事業譲渡やタテの会社分割で発生する「のれんの節税効果」は、ヨコの会社分割の場合は発生しません。そのため、M&A価格という点では比較的安値になってしまうでしょう。ただし、上述のとおり税率は低いので、最終的な手取りがどちらのほうが有利になるかは一概には言えません。

おわりに.「手間」と「税」が大きなポイント

今回は、会社の一部分だけを譲渡する3つの手法をご紹介しました。

どのスキームを選択するかについては「手間」と「税」が大きなポイントになります。それぞれの手続を比較したり、最終的な手取り額をシミュレーション計算したりして、最良のスキームを検討しましょう。

スキーム検討の方法については、「後悔しないM&Aスキーム決定のためにプロが実践する手法検討7手順」にて実際のステップをご紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

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