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M&A(譲渡)

M&Aを検討中なら知っておきたい中小企業M&Aの特徴

中小企業M&Aの特徴

ほんの10年ほど前までは、M&Aは中小企業にとって縁遠いものでした。ライブドア、村上ファンドの動きや一時流行した海外ファンドによる敵対的TOBを見て、こんな世界があるんだと思っていた中小企業オーナーさんは多いかと思います。

時は流れて、中小企業にとってもかなり身近なものになったのではないでしょうか。経営者の知り合いにM&Aを実現したという方も多いと思いますし、最近は政府が中小企業の事業承継対策として後押ししするようになりました。

このように、中小企業のM&Aは爆発的に増加していますが、昔から行われてきた大手企業・準大手企業と比べて異なる点が多いです。まだまだ未成熟な業界ということもあり、良くも悪くも特殊・異質なところがあります。

この業界の特殊性は、人生を掛けて作り上げてきた会社を、そして自分と家族のその後の人生を、大きく左右する要因になりかねません。

そこで今回は、中小企業M&Aの特色についてご説明しましょう。

中小企業M&Aの定義

中小企業M&Aに明確な定義があるわけではありませんが、M&A対象会社が中小企業(大手、準大手企業ではない会社)のM&Aを指してこのように表現します。

売上規模や従業員規模としては業界それぞれですが、売買金額の水準としては数千万円から数十億円程度です。ボリュームゾーンとしては数億円から10億円程度になります。

この規模間のM&A案件は、ファイナンシャルアドバイザー(売り手か買い手のどちらかの代理人)の報酬としては今一つで、これまで成長してきませんでした。しかし、M&A仲介会社なら「報酬両手取り」で取り仕切れるため、彼らの発展とともに案件数が急増しています。

ファイナンシャルアドバイザーとM&A仲介会社については、「初めてでも納得!仲介会社とFA、2つのM&Aアドバイザーの違い」をご覧ください。

本当の実数は不明

なお、中小企業M&Aは公表されないことが多く、また知り合い同士で進めることもありますので、正確な案件の数は知りようがありません。少なくとも年間3,000件はあるはずですが、実数はおそらくその何倍もあるでしょう。

ただ、M&Aに携わっている「業界人」が口をそろえていうのは、案件数は間違いなく伸びているということです。特に後継者不足からM&Aという選択を選ぶ人が急増しているのは間違いありません。

売り手と対象会社の特徴

中小企業M&Aの売り手は対象会社のオーナー経営者であることが大半です。

この規模の会社では、社長こそが会社の最大の競争力の源泉であることも少なくありません。そのため、オーナー経営者のパワーをどう引き継いでいくかが、中小企業M&A成功の重要なカギのひとつになります。

また、社長の個人使用の車両や社宅が存在していたり、会社に役員貸付・借入金が存在していたりしますので、M&A前後でどう処理していくかも1つの論点になります。

買い手の特徴

中小企業M&Aでは、買い手はM&A対象会社の同業者で、かつ、規模の大きい会社になることが多いです。

これは、前述のとおりオーナー経営者が売り手となることが多いため、売り手の事業承継としてM&Aされることが多いという事情が背景にあります。

買い手には熟練した買い手もいれば、M&A経験がまったくない買い手もいる点に注意しましょう。これまで自力成長をしてきた会社が急にM&Aをすると、M&Aに特有の売り手や対象会社への気遣いがうまくできないことがあります。

M&Aアドバイザーの特徴

売り手と買い手を結び付けたり、交渉の間に立つM&Aアドバイザーには、ファイナンシャルアドバイザー(FA)とM&A仲介会社の2種類がありますが、中小企業M&Aを仕切るのは仲介会社であることが多いです。

これは、中小企業のM&Aでは案件規模から十分なアドバイザー報酬が出ないことが多く、割高な仲介会社の報酬方式(両手)でなければ引き受けてもらえないことがあるからです。

FAと仲介会社については「仲介会社とFA、2種類のM&Aアドバイザーの違いとは?」をご覧ください。

その他、コネクションや紹介手数料といったM&A仲介会社の「営業努力」の賜物でもあります。紹介手数料については「オススメなんてカネ次第?M&Aのウラで動く紹介手数料の話」をご覧ください。

低品質なM&A仲介会社に要注意!

M&A仲介会社の品質は玉石混交です。はっきり言って素人同然のアドバイザーも少なくありません。これは新興企業だけでなく、老舗大手仲介会社も担当者のレベル差は大きいのが実情です。

これは、結局品質競争をするよりも、コネクションづくりや紹介手数料のバラマキのほうが売上を上げられるという業界の構造的問題のようにも思います。

M&A仲介会社を選任するときは、紹介や勢いだけで判断することなく、自分の目で相手の実力を見極めましょう。

M&Aアドバイザーの選び方については「時代遅れの業者に騙されない初めてのM&A仲介アドバイザーの選び方」にまとめていますので、ぜひご覧ください。

M&Aスキームの特徴

M&Aスキーム(売買手法)とは、売買を実現するための法的形式のことです。

中小企業M&Aでは、以下の4つのM&Aスキームが主流です。

  • 単純な株式譲渡
  • 事業譲渡
  • ヨコの会社分割(分割型分割)を用いたスキーム
  • タテの会社分割(分社型分割)を用いたスキーム

これらのうちどれを選ぶかによって、M&Aのしやすさ、価格の付きやすさ、節税効果などが大幅に変わります。詳しくは「4大スキームを図解!中小企業のM&A手法のメリットデメリット比較」をご覧ください。

中小企業M&Aではほとんど使われないスキーム

以下のM&Aスキームは、中小企業M&Aではほとんど使われることがありません。

  • 合併(M&A終了直後に合併することはあり)
  • 第三者割当増資
  • 株式交換

これらはM&Aというよりも資本提携・経営統合の要素が強く、「大きな会社が同業他社を買収する」という中小企業M&Aの主な構図にそぐわないためです。

M&Aプロセスの特徴

M&Aプロセスの特徴としては、「オークション入札型」と呼ばれる形式が採用されることが多いです。

オークション入札型のM&Aプロセスについては「自社争奪戦を起こすオークション入札型M&Aプロセスの流れと要点」をご覧ください。

この方法はM&Aの買い手候補を集めやすく、M&Aを「成立」させやすいという特徴があります。よって、成功報酬で動くM&A仲介会社が得意とするM&Aプロセスです。

入札の後で調査と価格交渉が行われる

M&Aオークションが一般的なオークションと大きく異なる点は、入札で買い手候補を一本化した後に、対象会社が細かく調査(デューデリジェンス)され、改めて価格交渉が行われることです。

当然、入札額よりも大幅に減額された価格で最終合意することもあります。

これは、入札前に不特定多数に会社の機密情報を開示できないという事情によりますが、オークションの意味を持たせるためには入札前に適切に情報開示する必要があります。詳しくは「M&A売価に3倍差が付くインフォメーションメモランダムの記載内容」をご覧ください。

デューデリジェンスの特徴

デューデリジェンスとは、M&A前にM&A対象会社のビジネス環境、内部組織状況、損益と財務の状況、法令順守や契約関係など、買い手が対象会社を買う上で必要となる調査を行うことです。

大金をかけて買収するわけですから、じっくりと品定めするのは当然です。

デューデリジェンスは買い手企業の担当者のほか、公認会計士や弁護士などの外部専門家がチームを組んで行います。買い手企業の担当者がビジネスや組織の全般的な調査(ビジネスデューデリジェンス)を行い、公認会計士が財務や損益分析(財務デューデリジェンス)、弁護士が法令順守や契約関係の状況をチェック(法務デューデリジェンス)します。

たまに外部専門家に丸投げする買い手がいますが、そういうときはM&A後に苦労することになるため要注意です。詳しくは「M&Aのデューデリジェンスが甘い買い手に売り手が注意すべき理由」をご覧ください。

交渉上の特徴

デューデリジェンス後、価格を含めたM&A条件の交渉を行います。

中小企業M&Aは、M&A初心者である売り手個人と熟練者である買い手企業という構図になることが多く、圧倒的に売り手が不利な戦いです。この時期になると仲介会社は「中立」に徹し、売り手オーナーを助けてはくれません(立場上当然です)。

あくまで交渉ですので、M&A価格が大幅に下がることもあれば、あまり下がらないこともあります。重要なのは駆け引きですので、時には「破談」もちらつかせながら交渉していきましょう。

M&A交渉の売り手の立ち回り方については、「【売主向け】DD後の最終条件交渉で勝つM&A価格交渉術」をご覧ください。

M&A最終契約の特徴

M&Aで結ばれる株式譲渡契約や事業譲渡契約のことを「最終契約(DA)」と呼び、上記交渉で妥結された内容を書面として残していきます。

当然、後日トラブルになった際には契約書の内容が決め手になります。脇が甘いととんでもないリスク条項を潜り込まされることがあるため、M&A専門の弁護士と相談しながら契約内容を作っていきましょう。なるべく中小企業のM&A実務に精通した弁護士がいいでしょう(大きな案件しか経験していない方は△)。

ドラフトのキャッチボールで契約内容を決めていく

契約書の記載については、通常はM&A仲介会社が雛形(ネットで無料配布しているようなレベル感です)を、まずは買い手に提供します。買い手は特別記載したい事項を加筆修正し、売り手に渡します。売り手はその内容を見て、希望する加筆修正して打ち返します。

このような契約書ドラフトのキャッチボールを繰り返し、契約内容を固めていきます。なお、仲介会社は中立の立場として、記載内容について特にアドバイスすることはしません。

最終契約で気を付けるべき条項については「甘く見ると大火傷!M&A株式譲渡契約で絶対注意すべき5条項」をご覧ください。

おわりに

今回は中小企業M&Aの特徴についてご説明しました。

同じM&Aでも、新聞に載るような大型案件と中小企業案件では勝手が違う部分が多い点には注意しましょう。経験豊富なM&Aアドバイザーであっても、意外と中小企業M&Aの特徴を理解していないことがあります。

M&Aアドバイザーを選ぶときには、このような特徴も踏まえながら考えていきましょう。

事業承継M&Aが失敗に終わるシンプルな理由とは?

事業承継を目的とした中小企業のM&Aは、多くが「失敗」と言わざるを得ない結果に終わります。


現実に、仲介会社のペースでM&Aを成立させてしまい、取り返しのつかない後悔を人知れず抱いている元経営者は少なくありません。


実は、事業承継M&Aが失敗しやすいということは、少し考えればすぐにわかるシンプルな理由からです。


あなたがM&Aを成功させたい、後悔したくないと強く考えているなら、事業承継M&Aの構造をきちんと理解しておきましょう。


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