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M&A(買収)

初めてでもPMI(ポストM&A)を成功させる10の重要ポイント

PMIのポイント

買い手企業にとって、M&Aは買うこと自体が目的なのではありません。買収後にM&A対象となった会社・事業の利益で投資を回収し、グループ全体を成長させることが目的です。

そのため、買い手のM&Aは、買収してからが本番なのです。

買い手企業が買収後にM&A対象会社をグループの一員として受け入れ、新しい組織に馴染むように行う組織統合の取組みのことを、「PMI(Post Merger Integration)」または「ポストM&A」と呼びます。

仮に素晴らしい会社を安価で買収できたとしても、このPMIに失敗してしまうと、あっという間に組織が崩壊し、M&Aの大失敗に直結してしまいます。したがって、このPMIをどのように実施するか、特にそのスタートが、M&Aの成功を左右する分水嶺と言ってもいいでしょう。

今回は、私が実体験から身に着けたPMIを成功させるポイントを10個ご紹介します。M&Aが成立したら、対象会社のメンバーを新しい組織として迎え入れられるよう、全力を尽くしましょう。

PMIにおいて実施すべきこと

まず、PMIのイメージをより具体化していただくため、PMIではどのようなことをしなければならないのかを確認しておきましょう。

具体的には、たとえば以下のようなことを行います。

  • 親会社のグループ経営理念の共有
  • 退任する役員の業務引継ぎ
  • 経営資源の共通化・合理化
  • 業務フローの統合
  • シナジー効果を実現するための連携
  • (必要な場合)法人の合併・組織再編

さらに上記を円滑に行うため、ざっくばらんなアイデア会議や飲み会(もちろん会費は親会社持ち)を開くことも、PMIでは重要な手段と捉えられています。

すべては「M&Aの成功」のため

PMIは決して簡単なものではありません。買い手企業が一丸となり、対象会社や売り手の元オーナーの力も借りて初めて成果が生まれるものです。

この際、買い手企業のPMIメンバーは、常に同じ目標を共有しているべきです。それはすなわち、「M&Aを成功させること」。より具体的に言えば、「なぜその会社を買収したのかに立ち返り、M&Aによって実現しようとした目標を高いレベルで実現すること」。それこそが、汗をかいてPMIを実施する意味です。

M&Aは、買収さえできれば自動的に成果が出るものではありません。買収後に取得したリソースを適切に活用して初めて成果を生み出すことができます。その土台作りとして、PMIは必須の業務と言えます。

PMIを成功させる10のポイント

それでは、上記のようなPMIを成功させるためには、どのような点がポイントになるのでしょうか。具体的には以下の10個のポイントをご紹介します。

  1. 神経を逆なでしないよう細心の注意を払う
  2. 敵は背後にもあり
  3. 指示は具体的に出すこと
  4. 定例会議で組織連携を図る
  5. 使えるものは何でも使え
  6. キーパーソンは確実に抑えろ
  7. M&A公表直後が超重要
  8. 「未定」は可能な限り口にしないこと
  9. デューデリジェンスからPMIは始まっている
  10. Quick Hitsで高揚感を作る

それでは、以下具体的に見ていきましょう。

ポイント1.神経を逆なでしないよう細心の注意を払う

M&Aは「買収した側」と「買収された側」が協力しなければ成功できませんが、人間である以上、「買収した側」の優越感と、「買収された側」の劣等感・反発心が生じてしまうことは防ぎきれません。経営トップはそう思っていなくても、現場社員は想像以上にナイーブです

一番典型的なトラブルが、買い手企業の社員のちょっとした態度が対象企業の社員の不興を買い、組織の心がバラバラになってしまうことです。連鎖的な大量退職が起こることもありますし、そこまでいかなくてもPMIの効率は激減します。

M&Aで一番難しいのは、間違いなくヒトの心の問題です。買い手企業として、絶対に失礼な態度を見せないことはチームで徹底しましょう。

ポイント2.敵は背後にもあり

PMIにおいて気を遣うべき相手は対象会社のプロパー社員だけではありません。買い手企業社内のメンバーも、時に大きな障壁になることがあります。

M&Aは経営トップと一部の社員で進められ、固まった時点で公表されるものです。聞かされていなかった社員にとっては寝耳に水であり、良い気持ちのするものではありません。社員同士のグチとして、「なんであんな会社を買ったんだ」とか「忙しいなかで厄介な仕事が降ってきた」という会話は自然と出るものです。

このような内輪の不満を軽視してしまうと、PMIチームの連携に支障をきたしたり、対象会社に悪い印象を与えかねません。

PMIにおいては、まず経営トップから本件M&Aの目的や意義について、各メンバーに説明し、協力を要請してもらいましょう。現場を背後で支えるメンバーから協力を惜しまない姿勢を引き出すことができれば、PMIの成功率は大幅に上昇します。

ポイント3.指示は具体的に出すこと

PMIメンバーや買い手企業の本部人員を動かす際のポイントは、指示は可能な限り具体的に行うことです。

平常業務であればアバウトな指示でも阿吽の呼吸で仕事を依頼できる関係だったとしても、PMIという滅多にないケースでは、認識のズレが起こることが非常に多くなります。そのため、具体的な行動を詳しく打合せ、いつ、誰が、何を、どのように実施するのかを確認しながら進めましょう。

ポイント4.定例会議で組織連携を図る

指示を具体的にといっても、実際には担当部署レベルでなければわからない現場の温度感が重要になることも多く、細かい指示をPMIリーダーが行うことにも限界があります。

そこで、週1回はPMIに携わるすべての人を集めて会議を開きましょう。ここで、1週間の各部署の活動やその際に発生した問題を共有するとともに、各部署の知恵を集めて解決策を練り、次の1週間の活動を決めていきます。

この際PMIリーダーは司会兼書記を担います。ポイントとして、必ず次回の定例会議までに、誰が何をするのかを明確にしましょう。

ポイント5.使えるものは何でも使え

PMIは、M&Aという巨額投資の成否を決める極めて重要なプロセスですから、全社を挙げて協力してもらわなければなりません。他部署の上職者に仕事を依頼するのはなかなか気が引けるものですが、全社の利益のため、堂々とお願いしましょう。

さらに、売り手である前社長は、PMIでも極めて重要なキーパーソンです。売り手は売り手で、元部下である従業員さんの前に立つことに気が引けている場合もあり、遠慮しがちなこともありますが、本心ではPMIの成功を願っていることが大半です。遠慮なく相談しましょう。

その他、プロパー社員のリーダー格のキーパーソンや、顧問税理士・社労士など、使えるものは何でも使って、PMIの成功を目指しましょう。

ポイント6.キーパーソンは確実に抑えろ

M&Aの目的は案件ごとに様々ですが、多くが事業を引き継ぎ、発展させることが基本になっています。買収した途端に事業がゼロリセットされては意味がなく、そのためには、事業を支えているキーパーソンの存在は何よりも重要です。

PMIでは、常にキーパーソンの「心」に気を配りましょう。通常キーパーソンは優秀な方ですので、転職しようと思えば決して難しくありません。M&A後の新体制で自分の居場所がないと感じたり、プライドを傷つけられるようなことがあると、かなり簡単に退職してしまいます。

ポイント7.M&A公表直後が超重要

PMIでもっとも正念場となるのは、M&A案件が公表されたその直後です

M&Aが公表されると、対象会社社内には激震が走ります。その衝撃は買い手の想像以上で、キーパーソンほど強烈な虚無感に襲われると考えましょう。

この激震をやわらげ、少しでもM&Aをソフトランディングさせるためには、M&A直後に買い手が迅速かつ的確にPMIに着手し、将来に対する不安を1つひとつ解消していくことです。M&A直後にテキパキと物事を整理していく様子を見せることができれば、プロパー社員も「なんだかよい方向に進んでいるようだ」と感じてくれやすくなります。

ポイント8.「未定」は可能な限り口にしないこと

PMIに不慣れな買い手企業が犯しがちな失敗として、プロパー社員から「私たちはこれからどうなるんですか?」という質問を受けたとき、「それはまだ未定です」と答えてしまうことです。

突然会社が「身売り」され、将来の雇用も不透明な中で、これほど残酷な言葉はありません。

このような質問を受ける前に、想定される問題については答えを用意しておき、回答できるように準備しておきましょう。

ポイント9.デューデリジェンスからPMIは始まっている

さて、上記のようにM&A直後が正念場で、しかも現場からの質問に「未定」と回答できないとなったら、M&Aが成立してからPMIに着手したのでは到底間に合いません

実は、M&Aの成立どころか成約前、すなわちデューデリジェンスの段階からすでに、PMIは始まっています。ここで如何に対象会社の実情を把握し、準備できるかが、PMIを成功させる分水嶺と言っても過言ではありません。

M&Aに不慣れな買い手は、デューデリジェンスの段階から失敗をしています。デューデリジェンスは決して形式的にならないよう、しっかりと調査しましょう。

デューデリジェンスのタスクとコツについては「買収M&A成功のカナメ!デューデリジェンスのタスク5選とコツ7選」をご覧ください。

ポイント10.Quick Hitsで高揚感を作る

最後に、これはテクニックとして、「現場社員の目に見えるM&Aの成果」を短期間で挙げることが、現場の高揚感と新しい体制へのポジティブな姿勢を引き出すうえで有用になります。

たとえば、サービス残業を全廃してしっかり残業代を支給する、馴染みやすいシステムを導入して業務の劇的な効率化を実感してもらう、買い手の資本力を使って新店舗を立ち上げる、などです。

これらすぐにわかりやすい成果が狙える施策をQuick Hitsと呼びますが、不安を感じているプロパー社員に「自分たちは良い方向に進んでいる」と感じさせる大きな効果が期待できます。

Quick Hitsはデューデリジェンスにおいて見つけておき、M&Aが公表されたら早速取り掛かりましょう。

おわりに

今回は、PMIで意識していただきたい10個のポイントをご紹介しました。

おさらいすると、

  1. 神経を逆なでしないよう細心の注意を払う
  2. 敵は背後にもあり
  3. 指示は具体的に出すこと
  4. 定例会議で組織連携を図る
  5. 使えるものは何でも使え
  6. キーパーソンは確実に抑えろ
  7. M&A公表直後が超重要
  8. 「未定」は可能な限り口にしないこと
  9. デューデリジェンスからPMIは始まっている
  10. Quick Hitsで高揚感を作る

です。

PMIは決して簡単ではありませんが、M&A成功のためには避けて通れないものです。しっかりと準備し、全力で挑みましょう。

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