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M&A(買収)

買収M&Aで「高値づかみ」を避けるための5つのポイント

M&Aの高値づかみ

M&Aの買い手が陥る失敗の多くが、「高値づかみ」か「PMIの失敗」によるものです。

このうち、「高値づかみ」は多くの買い手が注意しているにも関わらず、不思議なほど陥りやすい失敗です。「入札をする以上、高値になるのは仕方ない」という印象もあるのかもしれません。

しかし、大金を支払って買収する以上、その投資が回収できなくなる高値づかみは許されるはずがありません。高値づかみはすなわち経営の失敗なのです。

では、どうすれば入札のジレンマに折り合いをつけ、高値づかみを回避することができるのでしょうか?
今回は、買い手が気を付けたい高値づかみ回避のポイントを5つご紹介します。

「高値づかみ」とはどういう意味か?

まず本題に入る前に、「高値づかみ」の意味を考えてみましょう。

中小企業M&Aは「適正価値」以上で買うのが当たり前

「高値づかみ」のよくある誤解として、DCF法やマルチプル法で算出した「ファイナンス理論上適正とされる価値」より高く買ってしまえば、それは高値づかみなのではないか?という考え方です。

「ファイナンス理論上適正とされる価値」は、確かに理論上は正しいものですが、こんなもので入札しても、良い会社は永遠に買うことができません
なぜなら、一たび争奪戦が起これば、競争入札者はそんな空虚な概念は無視して全力の入札をしてくるからです。

理論上どんなに適正であろうとも、成就しない入札には何の価値もありません。「適正価値で買えば高値づかみしない」という意見は、単に「M&Aなんてやめておけ」と言っているのと同じことです。

「相場」なんて関係ない

同じように、「相場」というものもまた、高値づかみの議論には何の役にも立たない概念です。

M&Aは買収後に対象事業が利益を上げることで投資を回収していきます。仮に相場水準で買収できても、M&A後にそれに見合う利益が生み出せなければ高値づかみですし、相場より高くてもしっかり回収できれば問題なしです。

入札で決まるのだから、相場水準より高値を出したほうが買収できる確率は上がります。利益を生み出す自信がある買い手は、相場より高値で入札し、しっかりと利益を出していくべきです。

「回収水準」を大きく超えるのが「高値づかみ」

では、「高値づかみ」とはどういった状況を指すのでしょうか。

それは、した会社・事業が想定していたほどの利益を上げることができず、投資回収計画が大きく狂ってしまう状態を言います。

つまり「想定した利益」が基準となりますので、買収後にある程度の利益が上がっていたとしても、当初想定が高すぎ、それを元に買収価格を決めていたのであれば、それは高値づかみと言えるでしょう。

「高値づかみ」を避ける5つのポイント

では、買い手はどのように高値づかみを回避すればよいのでしょうか。

以下、重要なポイントを5つご紹介します。いずれも、中小企業M&Aの本質と言っていいほど重要なポイントです。

ポイント1.「相場」や「適正価値」は意識しすぎないこと

まず、上述のとおり、中小企業M&Aにおいて「相場」や「適正価値」はあまり意味のある概念ではありません。そんなことよりも、どのように買収後の利益を想定し、それに見合う価格を設定するかのほうが遥かに重要です。

財務コンサルの会社に「適正価値」を算定してもらったとしても、それが回収できなければ「高値づかみ」ですし、入札負けするようならそもそもM&Aが成り立ちません。表面的な理論理屈ではなく、本質で考えるよう意識しましょう。

ポイント2.事業計画に基づく社内ルールを守ること

M&Aに真剣に取り組んでいる多くの買い手企業が、「高値づかみしないための社内ルール」を設けています。たとえば、「のれん代は想定営業利益の4年分までとする」などの社内基準です。

実際の値決めにおいて、具体的にどのような社内基準が採用されているかについては、「DCFなんて嘘?M&Aの入札で買主が本当に使う3つの株式値決め法」にて解説しています。

これらの社内基準を設けている買い手企業にありがちなのが、特に素晴らしい会社を目の前にして、ついつい社内ルールを上回る入札をしてしまうことです。

M&A案件は千載一遇ですので、気持ちは痛いほどわかります。時にはそのような判断を行うことも経営者の重要な仕事かもしれません。

しかし、社内基準を逸脱することは、M&Aの成功率を下げる要因になるという事実は、しっかりと肝に銘じておきましょう。

ポイント3.売り手や仲介会社のセールストークを真に受けないこと

売り手は少しでも高い金額で売りたいので、対象会社が如何に素晴らしく、多額の投資回収が容易いかを説明してきます。当然ながらセールストークですので、実際のところがどうなのかをしっかりと見極めましょう。

仲介アドバイザーについては、「中立」ではなく「第三極」と考えましょう。彼らはM&A案件を成立させて初めて商売が成り立ちますので、成立確率が高まるよう動きます。つまり、買い手の事業見込みが甘いほど、また過大評価した価格を適正評価と誤認するほど、M&Aの成功率が上がりますので、売り手のセールストークと本質的には同根です。むしろ、M&A経験の浅い売り手よりも海千山千の業者のほうが要注意かもしれません。

いずれにせよ、重要なことはしっかりと相手の説明を吟味し、自社がすべてのリスクを背負いきるという覚悟で将来を考えることです。

ポイント4.やや保守的な事業計画を心がけること

競争入札においては、実現できるシナジー効果は全部織り込んで考えたほうが、入札上有利になります。そのため、買いたいという気持ちが高ぶって、実現可能性の少ないシナジーまで織り込んでしまい、結局高値づかみになるケースが少なくありません。

そのため、高値づかみを避けるという点においては、事業計画はやや保守的なぐらいがちょうどいいのです。

この辺は保守的過ぎると十分な入札ができなくなるのでバランスが重要なのですが、「やや保守的」を意識するだけでも、M&Aの成功率を引き上げる効果はあるでしょう。

ポイント5.事業計画をDDで精緻化すること

M&Aの買い手は、将来の利益を予測・計画して入札額を決めたり、最終交渉に臨んだりします。上述のとおり、事業計画が甘いと、その分高値づかみのリスクは高まり、M&Aの失敗に直結します。

買い手が値決めで使用した事業計画が現実的なのかをチェックし、より精緻化したハイレベルな計画へと磨き上げるには、デューデリジェンスでの適切な情報収集は欠かせません。むしろ、M&A成立前に事業計画を精緻化する唯一のチャンスとも言えます。

デューデリジェンスでは、自分たちが売り手や業者に踊らされることなく、きちんと地に足の着いた値決めができているかをしっかりと確認しましょう。この確認さえきちんとできれば、高値づかみは自然と防ぐことが可能です。

おわりに

今回は、買収M&Aにおける典型的な失敗である「高値づかみ」について、これを防止する方法をご紹介しました。

しっかりとした方針で戦略的なプライシングができれば、M&Aは大きな成果を生み出してくれますが、過度な投資は失敗に直結します。値決めは経営の難しさを顕著に表していますが、慎重かつ大胆に臨みましょう。

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