M&A(譲渡)

マトモなIMが作れないM&A仲介会社は即契約解除すべき5つの理由

M&A仲介会社の契約解除

中小企業のM&Aでは、プロセスを取り仕切るM&A仲介会社(M&Aアドバイザー)が非常に重要なポジションを占めています。特にM&A初体験の売り手オーナーさんにとっては、M&A仲介会社の“担当者”のスキルレベルによって、M&Aが成功するか否かが決まります。

しかし残念ながら、銀行や顧問税理士から紹介されたM&A仲介会社と独占業務委託契約を結んだものの、案件をスタートさせてみたら実に頼りない、しかし紹介者のメンツもあるので契約解除もできない、といったモヤモヤを抱えながらM&Aを進めている売り手オーナーさんは山ほどいます。

これは、M&A仲介ビジネスが「非常に儲かる」ということで、近年シロウトの参入が相次いでいること、また品質向上より銀行や税理士に紹介手数料をバラ撒くことが有効な経営努力になってしまっている現状と、無関係ではありません。

実際のところ、能力の低いM&A仲介会社では、案件をまとめることができても、かなり低い価格でしか売ることができません(それでも彼らの実力からすればボロ儲けなので問題なし)。中には案件の破談率が極めて高いアドバイザーもおり、「成功報酬はあっても失敗罰金はないから、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると割り切っているのではないか?」と疑うような輩もいます。

そのような仲介会社に引っかかったオーナーさんには同情しかできませんが、もしもまだインフォメーションメモランダムの作成段階であったなら、今すぐ契約解除を真剣に検討しましょう。M&A案件のプロセス的にそこが最初のデッドラインですし、低品質なインフォメーションメモランダムでは売れても安い金額にしかなりません

今回は、インフォメーションメモランダムを作っているときに、「あれ?このM&Aアドバイザーってもしかして出来ない人?」と思ったときに、契約解除を本気で考えるべき理由をご説明します。

インフォメーションメモランダム全般についてや、どのような記載内容が求められるかについては、「M&A売価に3倍差が付くインフォメーションメモランダムの記載内容」にまとめていますので、併せてご覧ください。

理由1.中小企業M&AではIMは最重要資料

中小企業のM&Aにおけるインフォメーションメモランダムは、これで価格が決まるといってもおかしくないほど重要なものです。

買い手候補各社は、入札前に限られた資料を分析してM&A後の将来損益を予想し、その損益で回収できる範囲内で入札を行います。このときの分析情報の中核になるのが、インフォメーションメモランダムに他なりません。

したがって、インフォメーションメモランダムには、買い手が入札額を決めるために必要なすべての情報が含まれていなければならず、情報不足や間違いがあると、買い手は誤った入札を行います。

誤って、価格が高い方向に入札してくれたらラッキーと思うかもしれませんが、入札後にデューデリジェンスが行われますので、そこで入札時の想定と違った事実が発見されたら容赦なく減額されます。不十分で誤った情報を渡した売り手が悪いので、この減額要求を跳ね返すのは至難の業です。

そして、その際の減額交渉は1対1、つまり競争入札者がいない状態で行われますので、必然的に入札前より厳しい要求になります。

逆に、適正な情報が不足なく提供されていれば、デューデリジェンスで新たな発見事項が見つからず、買い手には減額交渉の余地がほとんどありません。買い手は不合理な要求しかできず、売り手は簡単に突っぱねることができます。

このように、高値で正確な入札を集めるためには、正確で充実したインフォメーションメモランダムが必須になります

M&A価格を最大にするには10個のテクニックがありますが、中でもインフォメーションメモランダムは最重要です。10個のテクニック全般については「会社のM&A価格を最大化する売り手の10のテクニック」でご紹介していますので、併せてご覧ください。

理由2.M&A仲介会社変更のラストチャンス

インフォメーションメモランダムを作っている段階では、まだ買い手候補への接触はしていないはずです。

買い手候補に一度貴社の名前が通知されてしまうと、別のM&Aアドバイザーに変更することが一気に難しくなります。なぜなら買い手としては、「一度A社経由で来た案件が取り下げられ、今度はB社からやってきた」という事態になりますので、もしかしたらA社が手に負えない地雷が発見されたのではないかと心配になりますし、もしくは売り手は本気で売る気があるのだろうかという印象も受けてしまいます。

良い会社であれば、それでも決して売れないわけではありませんが、印象の悪さが価格に直結することは、決して珍しくありません。つまり、不適切なタイミングで仲介会社を変更すると、無用な減額を招くリスクがあります。

その意味で、インフォメーションメモランダムがまだ外に出ていない段階は、契約解除のある意味ではラストチャンスなのです。

理由3.IMにはアドバイザーの能力が如実に表れる

様々なM&Aアドバイザーにお会いして強く感じることは、アドバイザーの全般的な力量はインフォメーションメモランダムに反映されるということです。

事業の紹介の仕方、実態損益計算書の見せ方、M&Aスケジュールの立て方など、中小企業M&Aのことを熟知しているアドバイザーは、「お、解ってますね!」と言いたくなる内容です。筆者は売り手側にも買い手側にもつくことがありますが、いずれの立場でもこのようなインフォメーションメモランダムを作る相手とは非常に仕事がしやすく、最後までストレスなく案件を進めることができます。

逆に、インフォメーションメモランダムがダメダメなアドバイザーの案件は、大変苦労させられます。インフォメーションメモランダムの内容を見ただけで、このアドバイザーとやってもマトモなクオリティを維持できないと判断し、ご支援をお断りさせていただいたこともあります。実際には、仲介会社交代を受注の条件に提示したところ、しがらみの関係でできないとのことだったので・・・

M&A初心者の売り手オーナーさんが、仲介会社が作ってきたインフォメーションメモランダムのドラフトを見て、「これってもしかしてイマイチなんじゃないの?」と思ったら、おそらくその作者は腕のある人ではありません。真剣に変更をご検討ください。

理由4.仕事の質が悪い者は、筋の悪い者を連れてくる

「仕事の質が悪い者は、筋の悪い者を連れてくる」。これは「M&A業界格言」としてある人から教えてもらった言葉を、オブラートに包んだものです。(本当はもっと痛烈な表現)

実際には、仕事の質が悪い者も、ちゃんとした買い手を連れてくることはできます。ただし、不誠実な買い手(もっと言えばリアルにヤバい筋の方)を連れてくることは本当にあります。しかも、なぜか「器が大きくて筋が良い人」と思い込んでいることも多く、盛んにその人を奨めてきます。買い手を見る目がないのか、売り手の幸福に興味がないのかはわかりませんが。

いずれにせよ、仕事の質が悪いM&A仲介会社を使う場合は、相当気を付けておかないと、とんでもない相手を後継者として選んでしまうことがあります。

このような「筋の悪い買い手」を見分けるのは、売り手オーナーとして部下に対する最後にして最大の大仕事です。トップ面談だけでは見分けにくく、準備段階で買い手候補の情報をかき集める必要があります。詳しくは「最良の後継者を選ぶM&Aでのトップ面談の7つの意義と6つの準備」をご覧ください。

理由5.M&Aアドバイザーを間違えると一生後悔する

M&Aアドバイザーは中小企業M&Aを取り仕切る非常に重要なポジションです。優秀なM&Aアドバイザー抜きにM&Aの成功はありません。

会社は一生の宝だというオーナーさんは多いです。その会社を他人に譲り渡すとき、M&Aアドバイザーの能力不足で、うまく売買が成立しなかったり、想像以上に買い叩かれてしまったり、M&A後に部下の大量退職が起こってしまったら、一生後悔しませんか?

M&Aの失敗原因がすべてM&Aアドバイザーのせいだとは思いませんが、彼らの影響はかなり大きいのも事実です。絶対に後悔しないM&Aアドバイザーを選びましょう。

M&Aアドバイザー・仲介会社の選び方については、「時代遅れの業者に騙されない初めてのM&A仲介アドバイザーの選び方」に詳しく記述していますので、ぜひご覧ください。

おわりに

今回は、インフォメーションメモランダムがきちんと作れないM&Aアドバイザーをどうするべきか?という命題に対して、筆者の意見をご説明させていただきました。

M&A仲介は「非常に儲かるビジネス」というイメージが浸透してしまい、適正基準に満たない新興プレーヤーが多くなってしまいました。これは大手仲介会社でも同様で、同じ会社でも個々人のレベル差が異常に広がっているのが現状です。

銀行から紹介されたの大手だから、新興の中小だからということではなく、複数のM&Aアドバイザーから自分に最適な人を選びましょう。ハイレベルな人は本当にいますので、妥協なく探すように心がけましょう。

そして一度選んだ人がダメだと思ったら、違約金を払ってでも早急に切るべきです。M&Aは家を買うような甘い世界ではありません。ご自分の経営者人生の集大成にふさわしい結果になるよう、後悔のないM&Aを目指しましょう。

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当サイトでは、事業承継でM&Aを検討している中小企業経営者様向けに、中小企業M&Aの実態と大成功に導くノウハウをご紹介しています。

これをじっくり読んでいただければ、

・M&Aの基本となる知識
・事業承継手段としてのM&Aの検討ポイント
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