会社分割成功ノウハウ

勘違いで自己破産?失敗できない会社分割の法人税・所得税を詳細解説!

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会社分割で多額の税金が発生するリスクあり

会社を大きく動かすとき、経営者ならば必ず気になるのが税金です。

会社分割で税金が発生するかどうかというと、「とんでもなく多額に発生するときもあれば、まったく発生しないときもある」という極端な制度になっています。しかも会社分割に関する税制は複雑で、ちょっとした手続の違いで驚くほど税金の額が変わってきます。

このような難しい税制(組織再編税制といいます)の細かいところは専門の税理士さんに任せるとしても、マネジメントとしては、概略だけはしっかり大掴みしておきましょう。

なお、会社分割はM&Aの場面で節税にも利用されています。M&Aにおける売り手株主の節税手法については、「【図解】株式売却M&Aで個人売主が使える3つの節税手法」をご覧ください。

税が発生しない会社分割(税制適格分割)

会社分割には、「税が発生する会社分割」と「税が発生しない会社分割」があります。まず、税が発生しない会社分割だとどのようなことが起こるか確認しましょう。

なお、税制では分社型分割と分割型分割で扱いが異なります。

分社型分割と分割型分割の違いについては「ゼロからわかる会社分割の超基礎知識」をご覧ください。

税制適格の分社型分割の場合

税が発生しない分社型分割(新設分割)では、分割元会社の貸借対照表のうち、分割で移転する資産と負債がそのまま子会社化されます。

分割元会社では、分割された事業の純資産を分割新会社の株式評価額として資産計上します。

分社型分割の税務

これにより、分割元会社、分割新会社のいずれも、会社分割の時点では税金は発生しません

法人税法では、このような会社分割を「税制適格分社型分割」と呼びます。

税制適格分割の税務を仕訳の形式で知りたい方は、提携サイト「組織再編税制とらの巻」の「適格分社型分割の税務仕訳」にてわかりやすく解説されていますので、ご参照ください。

税制適格の分割型分割の場合

税が発生しない分割型分割(新設分割)が行われた場合、分割元会社の貸借対照表と株式が一定割合でパックリ2つに分かれます。

分割型分割の税務

これによって、

  • 分割元会社、分割新会社ともに税が発生しない
  • 両者の株主にも税が発生しない

ということになり、法人税や所得税は誰にも発生しないことになります。

このような分社型分割と同様に、分割型分割は「税制適格分割型分割分割」と呼びます。

税制適格分割型分割の税務を仕訳の形式で知りたい方は、提携サイト「組織再編税制とらの巻」の「適格分割型分割の税務仕訳」にてわかりやすく解説されていますので、ご参照ください。

税が発生する会社分割(税制非適格分割)

次に、税が発生する会社分割(税制適格分割ではない会社分割、つまり税制“非”適格分割)誰にどのような税が発生するのでしょうか。

非適格分社型分割で発生する税金

まず、税制“非”適格分社型分割では、分割した時点で「事業譲渡益」が発生します。

事業を企業外部に切り出し、分割対価として株式等を受け取るため、分割対価の時価と事業の簿価純資産の差額が「事業譲渡益」となり、法人税(中小企業は33.59%)が課されます。

税制非適格分割の税務を仕訳の形式で知りたい方は、提携サイト「組織再編税制とらの巻」の「非適格分割の税務仕訳」にてわかりやすく解説されていますので、ご参照ください。

常に損とは限らない!

非適格分社型分割は、分割時点で税金が発生することから、一見税負担が大きいような気がしてしまいます。

しかし、分割後に売却した場合は「無税」になるほか、分割新会社で大きな節税効果が生まれる(のれん償却の損金算入)というメリットがあります。この節税効果は買い手側が享受するものですが、売り手として知っていればその分を事業の売却価格するよう交渉することができます。

つまり、税金が発生することは必ずしも損ではなく、結果的により多くのキャッシュが残ることがあります。

非適格分割型分割で発生する税金

分社型分割は非適格でも常に損するとは限りませんが、分割型分割はほとんどの場合、かなり重い税が課されて損する点に注意が必要です。

非適格分割型分割の場合、以下の2つのステップで税が課されます。

  1. 会社を2つに分割することで発生する「事業譲渡益」(分社型分割と同様33.59%
  2. 株主が対価を受け取ることによる「配当所得」(総合課税で最高は49.44%

以上のようにダブルで課税が発生するため、非適格分割型分割で事業を売却した場合、手残りがほとんど残らないほど税金が発生します。

どうすれば税金が発生しない会社分割にできるのか?

では、どうすれば税制適格分割として税金を発生させないことができるのでしょうか。

税制適格分割として扱われるためには、法人税法で定められた「税制適格要件」を満たす必要があります。税制適格要件を満たせば適格分割、満たさなければ非適格分割となり、選択の余地はありません。

税制適格分割の要件は非常に複雑で、要件を満たすか否かは専門の税理士に慎重に判断してもらうべきですが、概要としては以下のような会社分割が税制適格要件を満たすように制度設計されています。

  • 同一企業グループ内の会社分割
  • 2つの会社が自主性を保ったまま行う吸収型の会社分割(対等会社分割)
  • 上場会社が2つに分裂する新設分割型分割(スピンオフ)

反対に言えば、上記以外の会社分割、たとえば一方的な企業買収としての会社分割の場合は、非適格分割になってしまいます。そのような会社分割を行う場合は、事前に株式関係を調整するなどして適格要件を満たせるよう段取りしたり、税額が許容額か確認しておく必要があります。

会社分割の税制適格要件については、提携サイト「組織再編税制とらの巻」に記載の「適格分割の要件」にて詳細に記載されています。素人判断は禁物ですが、どのような制度になっているのかの参考としてご参照ください。

事前にしっかり確認しましょう。

税制非適格の会社分割は、非常に多額の税金が発生するため、うっかり非適格にしてしまうと、会社分割後に会社が傾く原因になりかねません。一方で、うまく活用することで大きなメリットが生じることもあります。

会社分割を検討する際に重要なことは、適格か非適格か、税はどの程度発生するのかをしっかり確認し、どのように組織再編するのがベストかじっくり考えることです。これは実際に計算してみないとわかりませんので、我々コンサルタントにご相談ください。

失敗すると本当に自己破産するぐらいの税が発生することがありますので、しっかりした専門家を選びましょう。

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